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更新日:2025年3月25日

若林区 センタートップ

六郷市民センター

〒984-0835 仙台市若林区今泉1丁目3-19
電話番号: 022-289-5127 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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「化け石」

タイトル:六郷昔物語

化け石

むかーしむかしな、高田八幡神社の参道に怪しげな光を放つ化け物が夜な夜な現れて、参拝者や近隣の人たちを困らせてたんだと。おっかなくて、誰もお参りすることができなかったんだと。神社のあたりを通ると、食べ物を奪われたり、娘がさらわれたり、赤ん坊が喰われたりしたとかしないとか、とにかくおっかなくてみんなうんとがおってしまったんだとっしゃ。

ある時、人身御供にされそうになった娘の家から、しくしく泣く声がしたんだと。通りかかった武士がそのわけを聞いて、村人の難儀を取り除いてヤッペと思ったんだと。

そして、娘の代わりに境内に行って身を潜め、化け物が出はってくるのを待ち構えていたんだと。しばらく待ってたらば、無気味に光る化け物があらわれたんだと。その光に向かって武士は一刀両断切り捨てたんだと。手応えはあったんだげんと、あたりは真っ暗でなんも見えなかったんだとっしゃ。

しーんと静まり返った暗闇の中で、化け物がまた出はってくっかもししゃねぇと思って、武士は息を殺して微動だにしなねで、よっぴて身を潜めてたんだと。

そのうち、あたりがうっすら明るくなって夜が明けてきたんだと。

切り捨てたはずの化け物の姿を探したげんとも、どこさもなかったんだと。そしてあたりをよーぐ見てみたら、*板碑いたびの石が、なんと真っ二つに割れてたんだと。

それ以来、化け物はまったく現れなくなったんだどしゃ。

「あの化け物は、板碑だったんだべか」ってみんなで話したんだと。

今でもその石を土地の人は『化け石』って呼んでるんだとっしゃ。うそだと思うんなら、行ってみさいん。

はい、こんでおわり。

※板碑いたび:「供養の碑」梵語ぼんご・古代インドの文語であるサンスクリット。仏教用語に使われている。

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