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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第二回 カントウタンポポ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第二回 カントウタンポポ(ニホンタンポポ)
外来種に押されながらもしぶとく生き残る 巧みに次世代へ命をつなぐ
英名:Dandelion、Blowball
カントウタンポポは、キク科タンポポ属に属する多年草です。関東地方を中心に東北から東海に至る太平洋側に多く育つとされています。というのは、セイヨウタンポポに押されて生息域を狭めていると聞きます。タンポポというと、春から秋遅くまで繰り返し咲いているように思っていましたが、カントウタンポポを含む在来の二ホンタンポポは、春先にロゼット中心から花柄を伸ばして先に黄色の頭花をつけ、5月には種子を飛ばし、夏には地上の葉は枯れてしまう「冬緑型」の植物です。
タンポポを大きく2種に分類すると、カントウタンポポをはじめ日本の在来のタンポポの総称として、ニホンタンポポと呼びます。一方で海外からやってきて咲かせているタンポポを総称してセイヨウタンポポと呼びます。繁殖力が強いのが特徴で、一時は外来のタンポポの繁殖力に押されて絶滅が危惧されていましたが、なかなかどうして劣勢ながらもしぶとく生き残っていると知りました。他所からの影響を受けないような場所、例えば、神社や寺の境内、昔からの田畑、雑木林など、人手が入って耕地されていない場所、大気の流れを遮断するような雑木林に囲まれた土手などにひっそりと咲いて残っているという。私もたんぽぽを観ると、どっちかなと気になってしまします。
カントウタンポポはじめタンポポの仲間は、晩秋から冬にそして春先まで、多くのロゼット状の、ひし形の端を幾枚もずらして重ねたようなギザギザとした切れ込みの入った葉を、倒披針形で羽状に深裂した様子と表現します。裂状には変異が多くあり、中には深裂せずにヘラ状の葉も混ざります。後に花軸を伸ばすだろう中心から放射状に地中から直接、地面を這うように出ているのを観ることができます。
カントウタンポポをはじめ二ホンタンポポが、外来のタンポポ類にも負けずに生き残る戦略は、地上を覆い隠すように様々な葉が生い茂る季節は、頑張らすに枯れることです。そして、晩秋に、地下に残った根や、綿毛が落ちたところから芽を出して、ロゼット状に葉を広げます。冬の寒さ厳しい季節も、地べたに張り付いて葉を広げて光合成を効率よく実施し、エネルギーをためてゆくのです。
2月から3月にかけて、蓄えたエネルギーを惜しみなく使って一気に花軸を伸ばします。花を支える花茎は、最盛期には15~30cmと長く、良い条件が重なると一つの株も大きくなり、そこから20本以上の花が立ち上がることも。
ちなみに、外来種のセイヨウタンポポは、食用として持ち込まれたといわれ、レタスのようにシャキシャキとして食することができます。
皆さんもご存じのタンポポの花は頭花といって、実は小さな花の集まりで一つの花のパッケージになっています。その全ては、両性の舌状花の集まりで、一つの頭花は60~120の舌状花で形作られています。その舌状花は大きく、蝶や蜂などの昆虫の助けを借りて異なる株の頭花の花粉を受粉する他家受粉がなされます。開花の時期は、いくら早くても3月中旬以降、一般には4月から5月上旬までの間で開花となります。
カントウタンポポは、頭花を支える総苞片のうち外総苞片が垂れ下がらないのが特徴。さらに、外総苞片は内総苞片の半分程度の長さで、先にごつごつとした印象に見える角状突起があるのが、見分け方のコツとなります。
冒頭で繁殖力の違いにふれました。セイヨウタンポポに比べ、
- 頭花の舌状花の数が120と量が少ないことです。セイヨウタンポポの中には頭花ひとつで200を超える花となります。量では負けています。
- 一つの花からできる種子は、セイヨウタンポポに比べ2倍の重さです。ゆえに重いので飛んで行く範囲が狭いことです。セイヨウタンポポの種子は軽いので遠くまで飛んでいきます。一つ一つの主旨をしっかりと作って質を高め、確実に力強く花開くことを狙っています。
- 花の咲く期間が短いことです。カントウタンポポの一生は、発芽は秋になり、翌年の春に花を咲かす一年でワンサイクルとなります。一方でセイヨウタンポポ類は春から秋まで、綿毛の落下傘が風で飛ばされ、種子が発芽して、を繰り返しずっと花を咲かせることができます。春先の種から、その夏にまた花を咲かせるといったサイクルを繰り返して、旺盛な繁殖力を繰り広げます。
- 他の株の花粉でのみ受粉がなされることです。他の株の雄しべからの花粉を受け取り、力強い遺伝子を次の世代へつなぐ意味を持ちます。一方でセイヨウタンポポは自家受粉の仕組みを持ちます。「アポミクシス」と呼んでいる受粉をせずに自分だけで繁殖体を生産する生殖過程を保持しています。つまり自分の頭花の中で種子を作ることができるしくみを持っていることです。まさにクローン生成です。
そんな状況の中で、セイヨウタンポポとの雑種も見つかっているとの記事もありました。ひっそりと咲いているだろうカントウタンポポを応援したいと思います。修景公園のタンポポ詳しい場所は秘密にします。
タンポポの綿毛と軸の先に付いた種子を含めて、一単位の果実となります。ふわふわとしたタンポポの綿毛を丸くたくさん抱いて、もうすぐ飛ばすよという様子を観ていると、その魅力は筆舌に尽くしがたいですよね。花が終わると一度つぼむようにして、果実が熟するまで閉ざしています。種子が熟すともう1度開きます。その時は、花床…頭花を支える部分が、花の時期よりも丸まって、たくさんの綿毛を丸く抱いている様になります
この花床、よくできていて雨の日には開きません。これが、次の世代へ命をつなぐ戦略の二つ目です。濡れてしまうと飛ばないことはわかっているから閉じてしまい、次の機会を待つのです。日差しを浴びて花床は再び丸くなり、たくさんの綿毛が開いてまん丸に、風を受けて飛んでいくのです。
もうご存じですよね。カントウタンポポをはじめタンポポはすべて「風散布」です。次の世代へ命をつなぐ戦略の三つ目はとにかくたくさんの果実を飛ばして、条件の良い土地に舞い降りてくれよと送り出すことです。綿毛は、風を受ける帆としての役目と、ゆっくりと飛んで着地するパラシュートの役目を合わせ持った形です。種子の部分も拡大すると突起が出ていて、一度地面を捕まえたら離さないといった覚悟も観えます。
もし、カントウタンポポを見つけたら、そっとしておいて、観察を続けてください。