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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第二十九回 モミジバスズカケノキ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第二十九回 モミジバスズカケノキ
スズカケノキとアメリカスズケケノキとの交配種 双方の中間の特徴を持つ
英名:London plane , London planetree
モミジバスズカケノキは、イギリスで作られた西アジアのスズカケノキと、北米原産のアメリカスズカケノキとの交配種で、明治時代に渡来した雌雄同株の落葉高木です。高さ15~20mになるが、大きいものは35mに達します。樹皮に特徴があり、大きく薄く剥がれて、灰白色と暗褐色と淡緑色が混ざるきれいなまだら模様となります。大きな葉で木陰を作ることを目的として、日本に明治時代に渡来し新宿御苑で増殖され、北海道から九州まで日本各地に植栽されました。モミジバスズカケノキ、スズカケノキ、アメリカスズカケノキとは微妙に違いがあり区別できます。後ほど紹介します。
名前の由来は、モミジの葉に似ていて、多数の鈴をぶら下げたような果実がなることと、その様子が、山伏が法衣の上から身に着けるスズカケに見立てたことによります。モミジバスズカケノキとは呼ばれずに、単に3種を一様にスズカケノキと呼んだり、この仲間の総称のプラタナスと呼ばれたりしています。なお、モミジバスズカケノキは、トチノキ、ニレ、シナノキと共に「世界四大並木樹種」の一つと数えられています。
モミジバスズカケノキの葉は互生で枝より生えます。その葉身は掌状裂で幅広に3~5つに、たまに7つに裂け、長さ10~20cmと大きな広卵形です。縁には不揃いな大きな鋸歯があります。葉の表面は光沢があり、鮮緑色で、裏面はやや黄色味がかった緑色。両面ともはじめ灰白色の星状毛が密生するが、これは芽吹いたばかりの若い葉が昆虫らに食害されるのを防ぐのが主な役目になります。それはしだいに落ち、裏面の脈腋以外は無毛となります。
モミジバスズカケノキと、交配母種のスズカケノキ、アメリカスズカケノキとの違いは、いくつかの点で区別が容易にできます。その一つが葉の切れ込みの角度です。スズカケノキは深裂し30度ほど、アメリカスズカケノキは浅裂し90度ほどなのに対し、モミジバスズカケノキはその中間の60度ほどとなります。交配にて誕生したことから多少変異があるとされていますが、3つのどれかを判断する際は、後述する種皮と果実の様とで掛け合わせて観察すると、間違いなく判断できます。
葉は、秋深くなると黄葉・紅葉して後、落葉します。樹木全体が黄葉する姿も一見の価値があります。
花は、よくみなさんがイメージする花の様とは大きくかけ離れています。花期は4~5月で、一本の樹に咲く雌雄同株で、花は別々の雌雄異花、枝より花序の軸に球形の花序が2~3個付きます。写真左上のように大高木であることから、花が高い位置に咲くことで観察は難しくなります。赤みがかった濃いめに観えるのが雌花序、薄いのが雄花序となります。
雄花序は直径約1cmの球形で、長さ2cmほどの柄の先に咲きます。枝の元のほうの短枝に付いて咲く傾向が強とされています。球形に集合した花序の一つの花の花弁は4枚で楕円形、ささえる萼片も卵型で4枚、花弁は萼片の倍ほどとされていますが、ミリ単位で、大木の上にあり観えません。何とか大きめに撮影した写真でその様子を感じてください。球形に集合した花序は、花粉を出すため、やや黄色を帯びています。葯の先が有毛のため、全体が毛玉に見えます。花粉を風により飛ばし終えた雄しべは役目を終えて枝より離層し順次脱落します。
雌花序は直径約1.5cmの球花で、長さ10~15cmの柄の先に咲きます。花弁はなく、淡い緑色の球体の先にカールして2裂した赤い雌しべだけが咲いています。
果実は痩果・・・見た目は1個の種子のように見えることから、しばしばタネ(種)とよばれていますが、実際には種子ではなく1個の種子を含み、裂開しない果実で、それが集まった球状の集合果です。大きさは雌花の集合果の1.5cmから、長い毛の生えた褐色の痩果が集まって実った分大きくなり4cmほどになります。そう果の先のトゲは鋭く尖ります。冬に向かうほど乾燥が進み触ると痛いと感じることから、刺が集まったかのように捉えられ、堅果との解説もされますが、痩果でよいと思っています。
モミジバスズカケノキの果実は、果軸に2~3個、稀に1個か4個つきことから、スズカケノキやアメリカスズカケノキと見分けることができます。集合果はまれに春になっても枝にとどまり、春先の雄花や雌花の球形の開花と一緒になっていることがあります。なお、スズカケノキは3~7個連なるように付きます。アメリカスズカケノキは柄から1個、たまにまれに2個付きます。これも見分けに役に立ちます。
スズカケノキ モミジバスズカケノキ アメリカスズカケノキ
葉 切れ込みの角度30度 60度 90度
切れ込みの深さ1/2以上 1/2程度1/2以下
掌状に深く5裂~7裂 掌状にやや深く3裂~5裂 掌状に浅く3裂 稀に5裂
幹 緑渇色と灰白色の 灰白色と暗褐色に淡緑色が 暗褐色で縦に割れ目小さく
まだら模様 混ざるきれいなまだら模様 剥がれて淡黄色の木肌
最後に、樹皮の様子も見分けに役立ちます。モミジバスズカケノキの樹皮は、灰白色と暗褐色に淡緑色や珊瑚色が混ざるきれいなまだら模様となります。剥がれるうろこ状の大きさは、他に比べ大き目に薄く剥がれていきます。