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更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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高森東公園・修景公園の四季 第四十八回ハクモクレン

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

高森東公園・修景公園の四季 第四十八回 ハクモクレン

つぼみや咲いてすぐの花は北方向を指さすコンパス ダウンコートを何度も着替えて春を待つ

英名:lilytree、Magnolia

モクレンの花、ご存じですか?白い花を咲かせてくれます。花びらが9枚のように観えて大輪で豊満な花です。似たような花にコブシがありますが、コブシの花びらは6枚で、豊満のイメージはつきません。両方を比べると明らかに違いますよ。下の写真を見てください。蕾や咲いたばかりの花が一定方向を向いているように観えませんか?そうなんです。今回記事にするハクモクレンや花が色づくモクレンの花は、上向きに咲き、つぼみの先が同じ北方向を指し示すことから、コンパス・プラント(方向指標植物)と呼ばれています。太陽の光を受けて、つぼみの南側が生長して膨らみ、光を受けにくい北側より伸びるために起こる現象です。別名「コンパスフラワー」「磁石の木」とも呼ばれています。

ハクモクレンは、中国の中南東部を原産とするモクレン科の落葉広葉樹で、雌雄同株で同花、白い大輪で豊満な花を咲かせてくれます。江戸時代以前に渡来したとのことですが、その時期は不明なのだとか。

花見と言えば「桜」ですが、そのサクラより一足先の冬から春への季節の変わり目にいち早く咲くのがハクモクレンです。紫色あるいは濃いピンクの花を咲かせてくれるモクレンは、「シモクレン(紫木蓮)」と呼んで、ハクモクレンと区別されています。咲く時期が半月もずれて遅くなることから、モクレンの白花、紫花ではなく、別の樹木として分けているのです。

ハクモクレンの葉は、枝より互生で出ます。葉身は長さ6~15cm、幅6~10cmの倒卵形または広楕円形で、団扇の横幅を縮めたような葉のかたちで、先端近くで最も幅が広いのが特徴。さらに葉の先端で小さくとがります。基部は楔形。葉縁は全縁で多少波打つといった印象です。葉質は厚い革質。表面は濃緑色で少し光沢があり、裏面は淡緑色です。葉柄の基部には、枝をとりまく鉢巻状の托葉痕があります。葉の展開は、花が咲いた後の4月になります。

ハクモクレンの花びらについて冒頭で触れました。9枚の花弁が大輪で豊満な花を演出しているのは間違いありませんが、実は花びらは6枚で、花を支える萼が3枚というのが本当の様子です。ただ、見ての通り、花びらと萼、ほとんど同じ様に観えますが、花びらのほうは、大きさは約8cmと大きく、肉厚なのが特徴です。それを踏まえて観ていただくと区別つくと思います。

花の盛りの時は、花弁は全開せず卵のように包まれた様子になります。全て上向きに咲くため、さらに前述のようにコンパスフラワーなことから北に傾く、それゆえ満開時はまるで白い小鳥がたくさん止まっているように見えると表現されています。

ハクモクレンの開花時期は、ちょうど冬から春へと季節が変わる時期、仙台では3月です。大輪の白い花びらの中心に雄しべより前に突き出た黄緑色の雌しべの集合形「雌ずい」と、その周りに赤みがかった雄しべがぎっしりと生えて受粉を助けてくれる虫たちを待っています。咲いている期間はとても短く、2~3日で枯れてしまいます。花は弱く、雨風で花びらが傷つき茶色く変色したり、風に吹き飛ばされたりしやすい特徴があります。

だからでしょう、短い開花期間でも、虫たちを呼び寄せて受粉活動を活発にしてもらう必要があります。ハクモクレンの次の世代に命を繋ぐ戦略は・・・第一に、大輪の白い花びらの中心に雄しべ、と多数の雌ずいの集合体が、白、オレンジ、黄色と、虫たちにとっても目立ってターゲットにしやすい様子になっています。さらに、第二に、芳香も強く、レモンやライムのような香りで虫たちを集めています。

ハクモクレンの花芽、真夏から次の春までの=花芽/冬芽の様子です。花びらが散って夏になると、葉がしっかりと展開して、陽の光を受けて次の春に向けて花芽が作られています。そして秋にさらに冬と長い時間をかけてじっくりと育っています。

冬芽は大きく長さ2〜2.5cmの長卵形で、夏よりもしっかりとした灰色の寝た毛に覆われているようです。写真の上左から冬芽の様子を並べてみました。冬芽の芽鱗は托葉2個と葉柄が合着したキャップ状でできていて、寒い冬を暖かく過ごしています。銀色の厚い毛皮でおおわれており、鳥のひなが殻を割って出てくるように、その毛皮を破り開花します。この冬芽の記事をいくつも読んでいると、春花咲くまでに、何度も芽鱗を抜いて成長しているとありました。子供が成長すると着る服を買い替えるように、ハクモクレンの花芽も、確かに中が生長すれば、ダウンコートも着替えなければなりませんので納得です。

よって、ハクモクレンの次に世代に命を繋ぐ戦略の第三は、成長に合わせてダウンコートを着替えて、冬の寒さをしのいで、春まだ他の花が出そろう前に花を咲かせることです。

ハクモクレンの果実は、他のもくれん科(例えばコブシ)と同様の袋果で、得異な形状になります。夏、出来はじめは淡い黄緑色だが、10月頃になると赤紅褐色になります。秋~初冬を迎えると多くの樹木が実をつけ始めます。赤くて丸い形~楕円形の形をした実はたくさん見かけますよね。でも、上の写真のように、なんとも形容し難い赤い実をつけています。それでいて形はどれひとつとっても同じ形はありません。これがハクモクレンの果実です。何故このような形になってしまうのでしょうか?中央の夏の様子を観てください。さらに花の時期の雌ずいにも注目してください。

花の時期の雌しべの集合形「雌ずい」、その中の雌しべすべてに花粉が届けられるとは限らないのです。読んでいただいたように2~3日の命の花でしたね。その間に一つでも二つでも花粉を受け取れれば良しとしているのです。膨らんでいるところが、果実ができているところです。多数の雌ずいのうちどこに花粉が届いたか、いくつ届いたかで形が違っているのです。

秋、果実は乾燥が進むことで割れてくると思われます。中から赤い種子が顔を見せ、糸をひいて垂れ下がります。公園を観察していて、コブシの実が割れて、種子が糸に吊られて姿を表した様子は何度も何度も観ますが、ハクモクレンの実はわたしも一度だけしか観たことがありません。見るよりも先に野鳥に食べられているようです。その一度だけの確認できた時、赤い種子の表皮を剥いてみました。中は果肉の部分は薄く、ほとんどが黒い種子で現れました。

最後に名前の由来です。花の形が蓮の花に似ているのが木に咲くことから、漢字表記で「木蓮」と書いて表したとのことです。英語の「lilytree」は、ハクモクレンのヨーロッパへの伝わりが、ユリの花が日本から届けられたのと同じ頃で、イギリスの王宮植物園園長だったジョセフ・バンクス卿は、モクレンを中国から導入したときに、「枝先にユリの花がついている木」と評したそうです。そこからユリの木…「lilytree」とついたそうです。「Magnolia」は、世界各地のモクレンを交配させ、生まれた品種の総称のことを言い表しています。日本でいうモクレンと同じく、モクレン全体を指す言葉です。

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