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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第三十四回 ガマズミ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第三十四回 ガマズミ
真冬に食べると酸味と甘みのバランスが絶妙で美味しい 冬眠前のクマの大好物
英名:Japanese bush cranberry,Linden arrow-wood
ガマズミは、北海道西南部から九州の丘陵まで、日当たりの良い山野や林縁に、普通に生える落葉低木。高さ2m~5m、太い幹は4~5cmほどに生長します。樹皮は灰褐色。耐陰性があり明るい日陰でも生育が可能です。
ガマズミは、雑木林の中の樹としてあまり注目されませんが、葉の紅葉がとてもきれいです。鉄錆色の葉と赤い果実に魅了されています。さらにその果実は、酸っぱ甘くて、ビタミンを補ってくれますよ。詳しくは後程。
名前の由来を調べると諸説ありました。材は柔軟性があり強靭で折れにくいことから、民具の材として、身近な鎌の柄に用いられたことから「ガマ(鎌)」と、そして酸っぱい実をつけるので「ズミ(酸実)」とを合わせて、ガマズミと。或いは、マタギの疲れをいやす酸味のある果実として、山の恵みを山の神から授かり物としての実を語源に「神からの酸味のある実」とするもの、などとありました。
葉は対生。葉身は長さ6〜14cm、幅3〜13cmの倒卵形や卵形から円形。先は鈍頭あるいは鋭尖頭ふちには波を打つような浅い鋸歯がみられます。葉の表面には羽状の葉脈がはっきりと広がり、見た目でも凹凸が確認できます。両面とも毛があり、とくに脈上に多いことから、ふさふさとざらざらとした手触り感があります。裏面には全面に細かい腺点があり、葉身の基部付近には大きい腺点が2〜3個観られます。葉柄は長さ1〜2.5cmと長く、葉同様に毛が多い感じがします。
生育場所によっては、秋も深まると、紅葉が楽しめます。実が濃紅色に実ったあとに遅れて、緑、黄色、赤、赤茶色、鉄錆色、濃紫色などのグラデーションが美しいです。特に右上の写真のように、赤から紅色に染まった果実の向こうで、鉄錆色から濃紫色への移り変わりの美しさに、そのコントラストに魅了されている私ですが、毎年そんな魅了されてしまうほどのグラデーションが確約されているわけではないだけに、今年は期待に応えてくれますかどうか。
本年枝(春以降に新しく伸びた枝)の先に径5~12cmの平らな散房花序を出し、白い小さい花を多数固まってつけます。遠くから見ると白い大きな花が点々と咲いているように見えます。花の咲いた枝には星状毛が密生し、その花序の基部には1対の葉がありますので見分けに使って下さい。花は径5~8mmで白色、独特の匂いがあります。花冠は直径5〜8mm、5深裂して平開し、5本の雄しべが花弁よりも長く突き出ています。雌しべも、真ん中から少し突き出す雌雄同株の両性花です。匂いは独特の臭いで良くないとされていますが、それは人間の感覚。虫らにとっては媚薬のような独特の香りで誘惑しているようで、蜂類をはじめとしてたくさんの昆虫が集まってきます。
果実は核果で、長さ6〜8mmの偏平な卵形。表面に溝があり、先が尖る。9〜11月に赤く熟す。果実の赤い色、核の硬さ、果肉の少なさなどから、動物散布の中でも代表的な被食型散布の種子といえます。秋に濃紅色に熟す果実は、ツヤも出て非常に美しくて、先に紹介しました紅葉ととともに鑑賞価値が高く、多数の果実が付いた枝は野趣たっぷりの味わいがあり郷愁を誘います。
おいしそうに見えますが、熟したこの時期でもまだ甘味が少なく、渋みと酸味が強い。クエン酸が豊富で酸味が強く、エキスのたっぷり入ったレモン果汁に似ているといった感じです。私も一回だけで二度と口にはしません。多くの書籍でも生食には向かないと紹介されています。実は、初冬の霜が降りる頃になると、白い粉をふいて甘くなり味のバランスが良くなるんです。その食べごろをよく知っているのは、人ではなく野鳥です。ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、キジバト、メジロ、オナガ、アオゲラなどが集い、人間より先に食してほとんどなくなることも。別の公園ですが昨年11月末に残っていて幸運にも捕らえることができました。甘みもあっておいしかった。
ガマズミは生食のほか、実を使ったジュースやキャンディ、酢、ポン酢、果実酒、ジャム、ゼリー、健康ドリングなどに商品化されています。長野県のある村では、この実を採取し大根を漬ける時に用いて、紅色に染まり、実の酸味がついた大根漬け『赤漬け』を特産としているとのことです。
高森東公園・修景公園のガマズミの紅葉、今年はどんな色好きになるのか、見ごたえある鉄錆色になってくれるでしょうか?