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更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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高森東公園・修景公園の四季 第三十八回 ヤツデ

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

高森東公園・修景公園の四季 第三十八回 ヤツデ

ヤツデなのに7つ手・9つ手? 丸い実の頭に磯野波平さん似の毛が3本?

英名:Japanese Aralia

ヤツデは、ウコギ科ヤツデ属の常緑低木。東北地方南部以南の本州から南西諸島に生育します。日陰や大気汚染の激しいようなところでもよく育つといった特徴を持ちます。人の手のように葉が深く切れ込む、独特の形をしており、よく目立ち、見分けやすいですね。ヤツデは、夏の間は葉を広げることのみに費やします。晩秋ライバルが枯れている間に、花を咲かせて野鳥や虫たちを集めて、子孫を残す戦略で生域を広げています。葉が大きくなることから、古くから建物の見られたくないところ、トイレ等を隠す目的で植えられてきました。

ヤツデの葉は長い柄の枝先の方に、互生…つまり互い違いにつきます。人の手のように独特の形に7〜9裂して葉が深く切れ込んでおり、革質で光沢があります。葉の直径は20~40センチで大きいためか、天狗の持つ「葉うちわ」にも似ていることから、テングノハウチワ(天狗の葉うちわ)との別名を持っています。葉の形を手のひらに見立て、客を招き入れるとのゲンを担ぎ、飲食店などの店先に植えられることが多い樹木です。

葉身には模様のように広がる「葉脈」があります。人でいえば血管のように光合成で得た栄養を、根で得た栄養を全体に行き渡らせる役目を持ちます。葉脈には一本の主脈があり左右に広がります。ゆえに、ヤツデも主脈の両側に葉が育ちながら、切れこみも入ります。分かりやすく人の手で表しますと中指が軸になって葉を広げてゆくことから、偶数ではなく奇数となります。稀に偶数の切れ込みが見つかりますが、よく観察すると、切れこむ前のこれから切れ込もうとしている様子の葉脈を見つけることができます。

ゆえに、「八つ手」とはいうものの、葉の裂け目は9つが多く、次に7つあるいは11、成長過程で5つ、となる。いずれも奇数となります(写真の葉も9つです)。とはいえ、奇数では縁起が悪い。そこで、人の好む末広がりの「八」を持ってヤツデと名付けたといわれています。

ところで、なんでこんなに切れ込んだ葉になっているのか・・・ですが、切れ込んだ間から陽の光が下の葉に差して、まんべんなく日が当たるようにとの植物の工夫なのではとのことです。林の中でわずかに差す木漏れ日の陽の光を最大限に受け止めようとしているのでしょう。最後の写真で、林の中で陽の光が差し込んでいるヤツデの樹木を撮影しました。雰囲気が伝わりますでしょうか。

夏の間、樹林の中に成育しているヤツデは、陽の光を多く受けることはできません。樹木の葉や、つる性植物などに覆われて遠目からは見つけることすら難しい場合もあります。晩秋、高木が落葉すると次第に葉の向きを変えると聞きます。晩秋から冬の光に対応するのです。ヤツデは秋から冬に周りの樹木の葉を落とした季節、他の花の少ない季節を捉えて、日だまりの中で、次々と長期間にわたって花を咲かせます。

ヤツデの開花時期は11月~12月で、白い小花が鞠状になります。小さな五弁花が25棆ほど集まってできており、春の花のような芳香があります。最大の特徴は、雌雄同株で、雄性先熟の樹木であること。花には雄性期の花と雌性期の花とがあり、雄性期の花は、よく見ると短かい花柱が合体しており、おしべが成熟して花粉を供給しています。雌性期の花の方は、めしべが成熟して花粉を受け入れています。「サザエさんのお父さん磯野浪平さんの頭」に見えます。

花は花序の先端のものから咲き始め、花弁は白色で5枚。おしべも5本です。めしべは先端が5つに分かれているが、開花した直後は中心に集まって1本にみえます。雄性期の様子となります。めしべの下部は花盤と呼ばれる部分があり、ここから蜜が分泌されています。昆虫が活動しにくい早朝や雨天時にはたくさんの蜜が分泌され、虫らを集めています。

花弁は比較的早期に脱落し、果実の上にめしべが残った「浪平さんの頭」の状態になりますが、このように雌性期にも昆虫が多数来訪しているところを見れば、蜜を分泌しているのは間違いないとのことです。

秋も深まった時期~初冬の開花は、昆虫に貴重な蜜を提供しています。このような季節はずれの開花は、花粉の媒介者である昆虫や小型の鳥たちの来訪を確保し、受精を確実なものとしているのでしょう。他の植物とは歩調を合わせず、花の少ない時期の開花戦略は、落葉樹が葉を落とした明るい林の中で大きな成果をあげているのですね。

実は緑色も、冬を越した翌年の4〜5月に赤褐色から黒紫色に熟します。冬に雌性期の「サザエさんのお父さんの頭の3本の毛(雌しべ…本来は5本ですが蜂のせいでしょう。3本に減っていることもあります)」が、残ったままに、黒く熟しているように見えます。実が重たくなるのか、鞠状のまま垂れているように見えます。果実の中には、種子が3~5個、ややゆがんだ扁平な楕円形で、長さ4〜5mmとなります。発芽率は良いようで、この実を撒けば容易に葉が出てくるとのこと。野鳥によって食され、種子のみが糞とともに巻かれて広がります。

子供の頃、笹竹で空気鉄砲を作って、近くの森林公園で遊びました。その鉄砲玉はヤツデの実でした。笹竹の穴の大きさと、ヤツデの果実の大きさがほぼ同じ大きさなのが良かったんです。この実を筒の両端に詰め、一方から一気に押し込むと、先の実が「ポン」と発砲できました。実を見つけると、友達みんなで採ってしまい丸はげに。・・・思い出しました。

下には、秋、木漏れ日を受けているヤツデの様子です。

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