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更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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高森東公園・修景公園の四季 第二十四回 オオバコ

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

高森東公園・修景公園の四季 第二十四回 オオバコ

血管と同じ働きの維管束は踏みつけても大丈夫 人に寄り添って生きることを選んだ植物

英名:Chinese Plantain, Arnoglossa

日本では北海道から沖縄までの全土の高地から平地までの野原や荒れ地、道端などにごく普通に自生する野草です。葉は葉と同じかそれより長い葉柄があり、形は楕円形か卵形もしくは、さじ形をしており、多くは根元からロゼット状に四方に広がり多数出ています。5~7条の葉脈が縦に平行に走り、基部に浅い切れ込みがあり、生育状態が良いと葉の縁は波打つのも特徴。4~9月にかけて10-30cmの長さの花茎を出し、花は花茎の頂に長い緑色の穂に密につき、白色もしくは淡い紫色の小花が下から上に向かって順次咲く。果実は蒴果(さくか)で楕円形をしており、熟すると上半分が帽子状に取れて、中から4-6個の種子がこぼれます。

公園でなくても、よく見るので、どうして掲載するのと、思われたかもしれません。あまりにも身近な野草ですね。このオオバコの生涯を通して環境を捉えての巧みさを持っているのでご紹介させてください。

オオバコの生育にもかかわる特徴として、ちょっとした空き地にも、あぜ道にも、人の通る場所、自転車、田んぼの畔なら耕運機が通るような足元にそだっています。「踏みつけられて育つ」といって過言でないほどに。地表に大きく広がるわけでもなく、花柄が高く伸びるわけでもなく、直径20cmほどの面積の中で育っています。

ちょっとしたある空き地を観察しても、人が横切るなどして歩いているだろう場所にオオバコが生えています。人が通らないだろう所には別の背の高い植物などが育っています。それでよいのだと、意固地になって動こうと(広がろうと)しない頑固者に見えます。どうしてこんな人に踏みつけられるところに好んで生えるのか?不思議です。

草丈7~20cmの多年草です。葉は根元でロゼット状に中心から外側に生えて広がります。5~10枚束生し、楕円形~倒卵状楕円形で、長さ3~8cm、幅2~4cm、大きなスプーンに細長い柄がついたもの束になっているかのようにも見えます。

オオバコの葉には3~5個の平行脈があります。植物には、養分や水分を運ぶ、人間でいえば血管のような「維管束」と呼ばれている組織があります。オオバコの場合、この維管束が太く、非常に丈夫にできていて、何回踏まれても簡単には切れたりしないようになっているのです。写真は、葉にわざと切れ目を入れてひっぱった様子。5本のうち3本は切れていないのが見てわかると思います。この丈夫さは他の植物にはない特技です。これを生かして、生育場所を確保しているのです。

オオバコは春から秋、4~9月にかけて10~30cmの長さの花茎をのばし、花は花茎のてっぺん部分に穂状花序といって、長い緑色の穂をつけ、下から順次咲き上がっていきます。昆虫の助けを必要としない風媒花で、風に花粉を載せて他のオオバコに渡すのです。

そんなオオバコの特徴は、花を咲かせていく3つの時期を一本の穂で同時に見ることができることです。「雌性先熟」で、まず、個々の穂の先端からは細いブラシのような毛が1本ずつ伸びてきます。細かい毛の生えた白い糸状の雌しべが、4枚のがくの間から伸びて、風で運ばれてくる花粉を捉えようとします。次に、雌しべがしおれてくると同時に4本の雄しべが伸びてきます。さらに、雄しべもしおれ、結実が始まっている様子も見せてくれます。運が良ければ、まだ開花前の蕾の状態のものも観察でき、一本の穂で4つの時期すべてを観ることができるかもしれません。

オオバコの果実は「蓋果(ガイカ)」と呼ばれます。蓋果の蓋はふたを意味し、果実は熟するまで帽子の蓋におおわれて守られています。成熟すると果実は中央部で横に割れて、上部がふたのようにはずれるのです。実りの時期に穂を手に取って、その蓋をはずしてみてください。横にスパッと蓋が取れます。そこから種子をこぼれて次世代へと広がります。

オオバコは、この種子にも特別な仕組みを持っています。種子は、乾燥しているときはサラサラの状態ですが、多糖類のコートを身にまとっています。そのため蓋が取れた状態で雨を受けたり、落ちて地表の水分を得たりすると、ゼリー状の粘液を出してべたつき、いろんなものにくっつくことができます。きっと人間の生活に近いところで生育することで、自分の持つ特色を生かし、靴の裏にくっついて、自転車のタイヤにくっついて、古くは、草鞋の裏で遠くまで運ばれて次世代へ広がっていたのでしょう。中国では、牛車や馬車の通る道に沿って生えることから「車前草」と呼ばれているとのこと。日本でも「踏み跡植物」とも呼ばれるこのオオバコ。動物散布・・・いや人間散布と断定できるでしょう。

踏まれても踏まれても折れたり切れたりしないで、踏まれることで次世代へ命をつないでいるのです。“すごい”、と思います。

皆さん「オオバコ相撲」をとったことがありますか?年配の方なら必ず遊んだだろうオオバコの長い茎を使って勝ち負けを競いました。花柄を根本から取り、2つ折りしてUの字あるいはVの字に持って、2人が互いに交差してかけあって引っ張り合う。どちらが切れないかを競いましたよね。茎が太いから強いとも限らない。引っ張るタイミングも勝負に左右しましたよね。強く引っ張ったほうが切れて負けることが多かったと覚えています。奥の深い遊びでした。・・・昔はそうやって遊びながら、時間を忘れて自然に親しんでいました。

ぜひ親子で高森東公園や修景公園で、何なら近くの公園でも、ご自分のお庭でも「オオバコ相撲」できるかもしれません。もう一回、もう一回と夢中になってしまうかもしれませんよ。

最後に、上から、つぼみ・雌しべ・雄しべ・結実が始まった果実の4つのシーンを一本に捉えることができましたので、ご紹介します。

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