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更新日:2025年3月25日

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高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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修景公園・高森東公園の四季 第五回 オニグルミ

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

修景公園・高森東公園の四季 第五回 オニグルミ

核果は固いだけでない、水に浮き水の流れに沿って広がり次世代に命をつなげる

英名:Japanese walnut

オニグルミは、北海道〜九州の川沿いや窪地など、湿り気の多いところに生える落葉高木です。高さ7〜10m、大きくなると高さ30m,太さ1m近くにも育ちます。葉は互生で奇数羽状複葉、縁には細かい鋸歯があります。雌雄同株。花期は5〜6月で、葉の展開と同時に開花し、一般的な花びらのある花とは違うため注目されずに終わるものの、秋に実る緑色の果実の中にクルミが育っていて目立ちます。果実が腐って樹から落ちた後は、中のクルミが水に浮いて、水の流れで広がります。
修景公園、高森東公園の岸辺にも大きく育った樹が何本も観られます。観察に適した樹は、高森東公園の防災倉庫脇の階段を下りる途中に、見上げなくても目線で観ることができます。

葉は,奇数羽状複葉といって、頂点の葉を中心に両側に羽のように小葉が4~10対並び,中央部ほど大形で、小葉の長さ10cm幅4cmほど。葉柄を含めた長さは70~80cmにもなり、それで一枚の大きな葉とみなします。葉の先端は短く尖り、基部は丸みを帯びた卵のような形に近く、縁には細かい鋸歯があります。表面は無毛ですが、裏面には毛が密生しています。

その奇数羽状複葉の大きな葉が、枝から放射状に育っているのも観ていただけるかと思います。そして、その大きな葉が枝に互生つまり互い違いに出ています。

このような様で大きな葉を広げているのは、陽の光を樹の上の葉だけでなく、下の葉にも光が届くようにとの工夫だと考えられます。しっかりと陽の光を受けてエネルギーを蓄えて、花を咲かせ、果実を実らせるのです。

花期は5-6月ごろで葉の展開と同時に開花します。雌雄同株で同じ樹に雄花も雌花も咲きます。花はよく見かける花びらを持つ花とは違います。写真のように、雄花は、雄花序といって多数房となって穂が垂れ下がり、長さ10〜22cm程となります。穂には小さな雄花が密集して咲いています。一方の雌花は観察しにくいです。隣の葉の大きさで比較して感じて下さい。新枝の先に10個ほど穂になって咲きますが小さいのです。雌しべは真っ赤で二股になります。目線とは一段高い樹上に咲いていて気づかずに終わっていることも。

さらに、気づかずに終わっていた理由に、水の流れの岸辺に林になっていることが大半で、近づきにくいのがほとんど。でも、冒頭に紹介した高森東公園の樹は目線で観察できます。なぜ水の流れに沿うのかは、次の項で触れます。

オニグルミについてさらに調べてゆくと、「木によって雌花と雄花の咲く順序が異なる」との情報も見つけることができました。その木々の関係で、雌花が先に咲いたあとしばらくしてから雄花が咲く木もあれば、その隣の木は、逆に雄花が咲いたあと雌花が咲き始めるとのこと。林の中で木々は、お互いに花粉をやりとりして、同じ木の雌花雄花ではない交配をする工夫をしているのとのことです。まるで樹々たちが会話し、次世代へ命をつなぐ工夫を凝らしているようです。この点については、これからの科学の解明を待ちたいと思います。

果実は、核果状の堅果。クルミと呼ぶ堅いしわの深い長さ3〜4cmの卵球形の堅果を思い浮かべられると思います。樹上では、その堅果の外側に緑色の厚い肉質になった花床に包まれて育っています。その肉質にはタンニンが多く含み、実が結実するまで捕食者から守られています。実は8個前後を房のように密につけ、卵球形です。完熟した実の花床が黒ずみひびが入り、さらに乾燥するとともに中の核果が、花床からぬけ落ちます。或いは花床がついたまま落ちることも。落ちた実の一部は、カラスなどの動物に集められてしまう実となります。野鳥散布で広がります。

でも、その多くは水の流れに沿って広がっていきます。とても固い核果です。中には、クルミを割った方ならご存じだと思いますが空気の層があって水に浮きます。水に浮く核果は水たまりに浮き、水路にはまった核果は、川に流れて、運が良ければ海まで運ばれ河口近くの海岸に打ち上げられるものも。クルミは海岸で拾うものだと疑わずに信じていた人がいるほど打ち上げられるのです。オニグルミの林が川沿いに見られるのもそういった理由からです。或いは以前に水の流れがその場にあって今は流れが変わっている場合もあります。オニグルミはそういった戦略で、次世代へ命をつないでいます。オニグルミは野鳥散布でもあり、水散布でも次世代へ命をつないでいます。

人間がクルミとして食べているのは、仁と呼ばれている堅い核の中身の部分です。オニグルミの仁は特にきれいに取り出すのは容易ではありません。でもその分、味は多くの油分とタンパク質を含み、極めて優良な食品です。でも、ミックスナッツやケーキに飾られているのは、テウチグルミやシナノグルミと呼ばれている種がほとんどです。オニグルミの仁を食べたければ自分で採集するしかありません。

堅果は、ツキノワグマでも歯が立たないと聞きます。おいしい栄養満点の堅果は、リスやアカネズミらの独壇場となっているとのこと。彼らに、冬季の常備食として土に埋められ、それらから忘れられて春まで残された実から、分厚い落葉を貫いて芽が出て育ってゆく。それほどの栄養を蓄えた堅実となります。

樹冠つまり樹の葉のついた上部は遠目に見てまるい。幹は真っすぐになりにくいですが樹皮は暗灰色で縦に割れ目が入っています。若い枝には短毛と軟毛があり、直径約2cmと太い。暗褐色の木目が美しいことから家具材としては優良とされており、日本人の生活に密着した樹といえます。さらに、最近は実の殻はスタッドレスタイヤの素材に、樹皮を除いた木質部がスモークチップに使われています。放任すると大きくなり過ぎるため、庭木として使われることは珍しいとのことです。

オニグルミのユニークなところは、冬芽の表情です。冬芽は裸芽。円錐形で先端はとがり、褐色の短毛が密生しています。頂芽は特に大きく、長さ1〜1.6cm。葉痕は隆起し、大きくてよく目立っています。よく見ると維管束痕は3つ。人間の視覚感覚が、目と口のように見えることから、ユニークな表情が現れますよ。上の写真のようにその枝先の様子が、サルの顔に観えたり、サイの顔に、時にはインディアンの顔にも。冬芽は乾燥に弱く、そのためなのか川筋や沼や湖の水辺に生育しているとのこと。

春には赤い雌花の様子を、秋にクルミの収穫し、冬には冬芽の”顔”で楽しんでいただければ幸いです。

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