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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第四十二回 モズ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第四十二回 モズ
秋は風物詩の高鳴き 春は鳴き真似上手
英名:Bull-headed shrike
モズという野鳥を知っていますか?写真のような小鳥です。観たことがなくても、きっと声は聴いているはず。秋には、「もずの高鳴き」といわれるけたたましい高鳴きを聞いているはず。春には、他の小鳥たちがさえずりをはじめる頃、モズも軽やかに鳴きはじめます。漫画のコナンの変声機のように軽やかに声が響き渡ります。…どういうこと?…後述お楽しみに
日本では全国の平地から低山地の農耕地や林緑や河畔林など、開けた平地が見渡せる場所を好み生息して、留鳥として繁殖しています。ただ秋から春にかけては開けた平地で過ごし、暑い夏になると、涼しい高原というように季節で生息地を変える漂鳥として、或いは、冬には北日本のものや山地に棲むモズは、南下する、または山麓へ下りる漂鳥としてのモズもいます。
近年、モズは庭や公園など身近な環境から姿を消しつつあるとの報告が寄せられているそうです。東京都の区部では絶滅危惧種とされたとのことです。その理由は後程。
モズの全長は20cm翼開長27cmほどで、スズメよりも大きく、セキレイからちょっとだけ小さいです。体の上面から側面は茶色やオレンジ、下面は白褐色をしていて、尾が長めです。
オス(写真下)の顔には、クチバシの付け根から頬にかけてはっきりとした黒いラインが入っているのが特徴です。体上面の羽衣が青灰色で、体側面の羽衣はオレンジ色に、体下面の羽衣は淡褐色の羽毛で被われ下面には褐色や黒褐色の横縞が入ります。
メス(写真上)は頭頂から後頸が褐色の羽毛で被われ、目の後ろに赤褐色のアイシャドーが入ります。オスとの区別はラインの長さや色で区別できます。全体的にオスに比べコントラストが弱く褐色で、体下面は淡褐色で、その下面に褐色の横縞:細かな鱗のような模様が雄に比べてはっきりしている点で、オスと区別できます。
モズの語源には諸説あるそうですが、鳴き声に関するものが多く、中でも「モ」は鳴き声のことで、他の鳥の鳴き声を真似る習性があり、非常に多くの…百鳥の音を真似るところからの名から「百(モモ)」の“モ”というのが有力とのことです。漢字の「百舌(百舌鳥)」も「百の舌を持つ鳥」を表し、共通の認識からきていると思います。
ズの語源は、「ズ」或いは「ス」で、ウグイスやカラスと同じく、鳥を表す接尾語とする説が有力で、あわせてモズとのことです。
繁殖期にオスのみがさえすります。「ギチギチギチ…」「ギィィギィィギィィ…」「ギユイギユイギユイ…」と、(聞きようで様々に受けて止めてテキストにまとめていることをご理解ください)自分のテリトリーを宣言して、メスを呼び込みます。周りの様々な野鳥の鳴きまねもすることから、春夏だけの特別な鳴き方となるとのこと。モズの繁殖において、メスを惹きつけるさえずりには重要な役割がありそうです。そのためにしっかりとした準備をしているとの報告があります。その内容は食性の項で。
秋には、運が良ければ「もずの高鳴き」といわれるけたたましい高鳴きを聞くことができます。「チョンチョン、キーイキーイ」「ヂュキヂュキヂュキ キー、ヂュキヂュキヂュキ キー…」「キチキチッ キー、キチキチッ キー…」などと聞こえて、秋の知らせとして親しまれてきました。高鳴きを聞くと75日目に霜が降りだすとして、農作業の目安にしてきた地域もあるそうです。この高鳴きはオスもメスも鳴くのだそうです。ほぼすべての野鳥の小鳥たちは繁殖を終えて秋から冬は、番から集団で暮らすようになります。でもモズは例外で、オスもメスも鳴いてどうするかというと、自分のテリトリーを宣言しているんです。越冬の際の自分の餌場はここだから誰も入るなという宣言とのことです。ハンターはそうして冬を越せるだけの食物を得るのですね。
小鳥たちがさえずりをはじめる頃、モズのオスはよく鳴き真似をします。漢字で「百舌鳥」と書いてモズと読ませるほど鳴き真似上手で、ウグイスなど他の小鳥のさえずりだけでなく、馬のいななきまで真似するといいます。小鳥のメスがさえずりによってオスを選ぶ場合、より複雑なさえずりが好まれるという研究があるので、オスはさまざまな声を発することで、メスに選ばれようとしているのかもしれません。コナンの変声機のように声を自在に操って気にいってもらえるよう頑張っているんですね。
モズのクチバシは、猛禽類のタカやトビのようなカギ状をしていて、食性は肉食です。昆虫や蛙、ネズミなどの小動物、小鳥などさまざまな獲物を捕食します。狩りをする時は見通しのよい枝の先などに止まって獲物をねらっているとのこと。肉眼ではなかなか見つけられませんでした。
そんな20cm程の小型の小鳥なのに昆虫ハンターなモズですが、食生活でモズならではの変わった習性を紹介します。自然散策が好きで、さらに藪の中も歩くというあなたなら、生け垣などのとがった小枝や、たまに人工物の有刺鉄線のトゲなどに、バッタやカエルなどが串ざしになっているのを見たことがあるかもしれません。なんだこれはくらいに気が付けばいいのですが、流してしまうのが私も含めて多くの方だと思いますが、それがモズの仕業だというのです。これを日本では『モズのはやにえ』と呼んでいるのです。このことを知ってから、通勤の際に道沿いの生垣の際を注意して観るようになりました。すると…上の写真のようにアシナガバチらしきハチや親指ほどの小型のカエルがトゲに刺さっているのを、観察することができました。
なんでもイギリスではモズのそんな生態を表現してか「屠殺人の鳥」といい、ドイツでは「絞め殺す天使」と呼んだりするそうです。モズだけでなく、モズ類の野鳥(チゴモス、アカモズ、セナカモズ…)が行う習性で有名とのことです。
モズも秋になって頻繁にはやにえを作りますよ。暖かい冬と寒い冬を比べると、寒い冬のほうがはやにえがより消費されてており、暖かい冬ほど、放置されたままのはやにえが多いとの報告もあることから、冬の保存食の役割をもつと考えられています。
モズに関しての興味深い調査結果を見つけました。2019年5月、大阪市立大学と北海道大学の共同研究により、はやにえの消費が多かったオスほど繁殖期の歌の質が高まり、つがい相手を獲得しやすいオスのモズとして、春を謳歌しているという研究結果です。さらに、はやにえのほとんどはモズの繁殖に向けて番形成(つがいけいせい)が進む2月には消費されているという論文が発表されたとのこと。
つまりはやにえの目的が、越冬目的との点がすべて排除されるものではないにしても、まだまだ寒い冬が続く2月そして3月を控えているのに、はやにえが3月前に無くなることから、その目的の大部分は、次世代につなげるための「配偶者獲得で重要な歌の魅力を高める栄養食」として機能している…という研究結果でした。
モテるためには、観えないところでしっかりと準備し、努力し続けなければならないのですね。世の独身の皆様で結ばれるのを夢見ている方々、見習わなければなりませんね。
最後にモズに関することわざから・・・「モズの高鳴き七十五日」…これはモズが甲高い鳴き声でなくモズの高鳴きが始まったら、後七十五日で霜がおりるぞということわざです。農作業をする農家の人々の生活の中で、目安として、繰り返される経験から生まれた言葉です。そういった自然の中から送られてくるサイン、見過ごしたり聞き過ごすことなく気づいて大切にしたいですね。