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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第二十五回 ミズヒキ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第二十五回 ミズヒキ
紅白のコントラストが目を引く小花、飛び出した二本のかぎ針で引っかかり遠くに運ばれる
英名:Jumpseed
ミズヒキは、多年草でタデ科イヌタデ属の草本。日本全国の山地や低地の林縁や林下、特に林内の日陰にひっそりと咲かせています。茎は直立しまばらに枝を分け、高さ40〜80cmにもなります。葉は茎全体につくか小形の個体では茎の上部に集まります。開花は8〜11月頃。花は総状花序で、茎頂や葉腋から長さ20〜40cmになる花穂を出し、それに小花がまばらに咲きます。
名前の由来は、祝儀などで使われる水引きにそっくりに、花が付いた茎の先に、上から観ると紅色に、下から観ると白い様が、上下でコントラストよく観察できることに由来します。英名の「Jumpseed」(飛び跳ねるノミ)の由来は、種をとろうと花柄を手でしごくと、実がノミのように弾け跳ぶことや、種子の先端の鉤状の部分が動物などにひっかかった際に、ジャンプして近場に種を撒き散らすところからついているとのことです。
葉は互生で茎全体につくか小形の個体では茎の上部に集まり、長さ5〜15cm、幅4〜9cmの楕円形〜広楕円形で、葉の先は鋭形、基部は広いくさび形をしています。質は薄くて両面に粗い毛があってざらつき、表面の葉脈はへこみます。初夏の頃にたまに、葉に「八」の字の模様(鼻緒のような模様)が入ります。葉柄は短く、上部の葉はほとんど無柄になります。
開花期は8〜11月頃で。写真にあるように上下で紅と白のコントラスト際立つ小花が特徴です。花は総状花序で、茎頂や葉腋から長さ20〜40cmになる花穂を一本ないし数本伸ばして、それぞれに直径2~3ミリの花を間隔を空けて咲かせます。花は雌雄異花で、雌雄同株となります。花は、4枚の花弁(花びら)のように観えますが、萼片となります。
雌花は、写真中央右側のように、花弁が開く様にはならずに、先を二股に分かれた鉤状の雌しべが、綴じた萼片の先から出して咲いています。雄花は、4枚の萼片が開いて、その中で5本の雄しべが花粉を撒いています。花は盛りを過ぎると、雄花は役目を終えて花軸から散り、雌花だけが残ります。雄花雌花ともに上から観ると紅(あか)い花に観えますが、逆さにして下から観ると白い花に観えます。赤というよりは紅色に観えて、コントラストよく目立ちます。雌花の萼片は、受粉後も果実が熟してゆくまで長く紅色であり、花穂を彩っている様は、花を終えてもなお観るものを引き付けます。
ミズヒキは、動物や人間を通じて生域を広げてゆく「ひっつきむし」と呼ばれている種のひとつです。ミズヒキは、4弁ある花弁が綴じてレンズ状の長さ約2.5mの痩果を実らせてゆきます。上の写真にあるように痩果の先にかぎ針状のモノが見えます。こちらは花が咲いているときには雌しべだったものが、花期を終えて飛出し、さらに二つに裂けて枯れて、それがかぎ針のようになって、引っ付くといった仕組みです。ひっつき力はこのかぎ針の2本だけです。果実の全体からしたら、引っ付く力はあまりないと言えます。でもミズヒキにとっては、ちょっと引っかかって、すぐに外れて、それでも、少しは移動してそこで次世代へ命をつなぐ。ミズヒキならではの戦略なのでしょう。
最後に、ちなみに、茎も含め全体を上から観ると紅く、下から観ると白いといった規則性はぶれないようです。でも、自然の中で変異する場合があります。花軸に咲く花すべてが白色のものをギンミズヒキといいます。ミズヒキほどではないが観られたらラッキーですよ。一度だけ観たことがあります。さらに、花が上下に色が分かれるのではなく、赤花と白花が混じって咲くものをゴショミズヒキといってこちらも区別して名前が付いています。
ミズヒキは、木陰などの暗い場所に育つので、目立たない花ですが、その花の時期、さらには果実の時期も含めて、わび、さびの世界に通じるのか、茶室の脇などに植えられたり、一本刺しにして飾られたりするとのことです。