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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第四十七回マンサク
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第四十七回 マンサク
早春の3月いち早く黄色のハチャメチャした様子の花を咲かせる
英名:Japanese witch hazel
マンサクは、北海道渡島半島から本州、四国及び九州の太平洋側に分布し、山林に多く、山里の雑木林や谷筋の林に自生する日本在来の落葉小高木です。多くは高さ3mほどの灌木で、生長すると5~6mに生長します。花は雌雄同株で両性花、仙台でも、まだ寒さの残る3月頃から、はっとするような黄色い花を咲かせ、いち早く春の訪れを教えてくれます。
マンサクの植物名の由来について、彼の牧野富太郎博士は『新訂牧野新日本植物図鑑』で、「満作は豊作と同様、穀物が豊かに実ることをいい、この木が枝いっぱいに花を咲かせるので、このようにいう」と述べています。マンサクは、他の花の季節に先駆けて、「花の季節を知らずに咲く」ことから、「トキシラズ」といった別名もあります。
葉は互生して、短い柄がついた長さ5~15cm 幅4~7cmの菱形状の円形から広卵形で左右が歪み非対称の様になります。葉身が厚く波状の鋸歯があるも菱形の基部にかけては波が低くなります。葉の大小や形状の相違も観られます。近づいてみると表は濃い緑色でツヤがあり、葉裏の葉脈上に淡褐色の毛が密生して目立ちます。葉はタンニンを含み、火傷や湿疹に使う民間療法にもちいられているとのこと。また、日干ししたものを煎じて飲めば、下痢止めの効果があるといいます。
葉は、3月の花の展開後に葉を広げてゆき、秋には黄葉して黄色から橙色に色づき、落葉すると褐色に変わります。昨年秋の葉が落ちずに、橙褐色に染まった葉と黄色い花が同時に観られることも少なくありません。
おおかたの 枯葉は枝に 残りつつ 今日まんさくの 花ひとつ咲く
美智子上皇合
この短歌は、2011年1月歌会始の際に、御題「葉」に詠われた一首です。
マンサクの花は2~3月、黄色の花を葉の展開に先立って咲かせます。前年の葉腋から短い花序を出し束生:いくつもの花が固まるようにして咲きます。その様はイソギンチャクの触手が四方八方に向いているといった様というとイメージが浮かぶでしょうか。黄色の花弁は4つで、線形で長さ12~15mm、幅2 mmほどの細長いひも状で縮れています。
花の直径は3~4cm、萼と花弁と雄蕊および仮雄蕊が4個ずつあり、中央の雌蕊は2本の花柱を持ちます。仮雄蕊ははっきりと写真には写っていませんが、カールした赤紅色の萼、黄色い葯のついた雄しべ、中央の雌しべが写っています。
マンサクの次世代へ向けた戦略は、すべての葯に覆うパッケージがあって、花開いた後、フタをぱっくり開けるように、ちょうつがいが180度パックリと雌しべ側へ開いて(萼が確認できます。ライバルの花がいない時期ですので、受粉を助けてくれる昆虫らがしっかりと集まってくると思われます。
高森東公園の確認したマンサクの樹は、いずれも2~3mの灌木です。ちょっと顔を上に向けると発見できますが、下の方に気を向けていると気づかないかもしれません。黄色い花ですので目に入ればしっかり捉えられると思います。線形の黄色い花弁が落ちた後も、カールした赤紅色の萼が花開いたかのように見せ続けてくれます。
果期は9-10月です。3月の開花からなのでじっくりと実を熟成させていることになります。果実は蒴果:乾いた果実でぱっくりと割れて種子を出すタイプを言います。果実は直径約10mmの角のような凸凹もある卵状球形で褐色の短毛が密生しています。
マンサクの花の次世代へ向けた戦略は、この果実が赤の種子が完熟して準備が整ってから、ホウセンカのようにバチッと、かなり高い音を立ててぱっくりと割れて飛び散ること。機械的種子散布、というそうで、果実が成熟し、その後乾燥することで果皮が裂開、その力で種子を弾き飛ばし、遠距離に種子を散布するのです。
さらに一つの果実から一つの種子ではなく、二つ実らせることも次世代へのはかりごとと思われます。たとえ割れ方が小さくて果実に残っても、さらに乾燥が進んで再度割れて落とされたり、光沢のある長さ7~9mmの長楕円形の黒色の種子は、動物や野鳥たちに気づかれてしまうでしょう。最後には動物散布の手伝いもいただきながら、次世代へ命をつないでいるのです。
この間、小さな散策会に参加しました。皆さん花弁のある花だけを花と認知しているようで、花には花弁をもたない。或いは花弁と思われるのが苞葉だったりなどの様で、むしろその形を持つ花が多いことも伝えました。皆さんぜひ、カツラやマンサクの花をご覧ください。