ページID:10310

更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

ここから本文です。

高森東公園・修景公園の四季 第五十一回フキ

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

高森東公園・修景公園の四季 第五十一回 フキ

天ぷらで美味しい春の芽吹き 初夏煮つけて美味しい中空の葉柄

英名:Giant Butterbur

フキは、日本原産の山野草で、全国に分布しています。丘陵地や原野、山野、道端のやや湿ったところに自生し、山では斜面や沢、河川の中洲や川岸、林の際などで多く見られますよ。地下茎から葉がでる前に花茎をのばし、頭花をつける様で花を咲かせているのですが、花を意識しているかどうかは別にして、大人のみなさんは、食べてますよ。「苦味」が大好きなあなたなら、もう気付いていますよね。

ここまで読んでいただいて、3月、山菜の人気者「蕗の薹(フキノトウ)」のことだとわかった方、拍手です。フキは、お店で並ぶ、煮付けていただくフキのことです。その花を、フキノトウと呼びます。私は、両方大好物です。フキは生えている場所で、ヤマブキやサワブキなどと、形や色が異なるのでアカブキやアオブキなどと茎の色で区別したりしていますが、キク科の多年草「フキ」です。

フキの葉は、花の後に出ます。根出葉は長柄があり、長さ15~30cm、幅15~30cmの葉の形は円の一部が切れたハート形や腎臓形をしていて薄く、紙質です。根に近い基部は心形に。葉は幅が15~30cmの腎円形、縁に細かい鋸歯があります。葉表は緑色、幼時は縮れ毛があり、葉裏はクモ毛状、後に無毛となります。

フキの葉は、ただうちわのように大きく降り注ぐ雨水をしのぐ傘の役目をしているのではありません。葉に降り注いだ雨水を効率よく受け取るために、全体が皿状にくぼんでいます。そこに雨水を一度受け止め、葉の切れ込みから茎を伝って根元に集める仕組みで、自らを大きく育とうとしているのです。お店でもたまに葉付きで売りに出ているときがあります。新鮮な葉であると確認出来たら、私はすぐに買っちゃいます。長さ30-80cmほどになる中空の葉柄が食用となることはもちろんですが、新鮮な葉も調理しておいしくいただけます。

フキの花「フキノトウ」は、早春の3月下旬から–5月上旬ごろ、葉が地表に出ないうちに、地下茎から花茎が伸び出し、これを「蕗の薹」と呼んで、ほろ苦い大人の味としておいしくいただいているといったことになります。フキノトウは株が異なる雌雄異花です。違いを分かって食べていましたか。雌株雄株それぞれに鱗状の苞葉で包まれており、花びらではありません。中に多くの頭花が見られます。タンポポのようにたくさんのお花の集まりです。頭花は筒状花だけでできている頭状花で、毛状の突起を持っています。

雄株の雄花は花粉をつけるので、花色はやや黄色味がかった白色で、右側の花になります。

雄株の小花は筒状花で、姿だけ観ると両性花の様です。機能的には雄花で、雌しべを持ち雌しべが花弁よりも先に伸びていますが、棍棒状の柱頭は花粉を押し出すためにだけ存在し、子房も成熟しないとのことです。花茎は20cmほどで生長が止まり、花が終わると褐色になって枯れてしまいます。

一方、雌株の雌花は白っぽい花で、左側の花になります。小さな花の集まりの中に、雄花茎の雄花と似た花粉を出さない両性花の様の小花が小数混じっているのが確認できます。雌花の中で蜜を出して虫媒花を誘い受粉を助けます。それを蜜花といって区別しています。花粉も出さず、結実もしないことから中性花とも呼ばれています。

雌株の中の多くある雌花は、雄しべを持たず、多数の雌性の極細い筒状花で構成され、細い花柱が花弁の先に出て、伸びた花柱の先は2裂して、虫媒花が雄花から運んできた花粉をからめとるような様になっています。

受粉後は手品のような不思議なことが起こります。花茎を高さ40-70cmほどまでググぐっと伸ばします。その伸びる意味は次の項で。

フキの果実は痩果で、長さ2ミリメートル(mm)ほどの細い円柱形で毛はなく、痩果の3倍ほどの長さを持つ冠毛がつきます。種子の方は、タンポポの痩果から出ている長い冠毛柄はなく、ノゲシのように、痩果から直接冠毛がついています。冠毛の密度は、それほどではなく、タンポポのように、良い風を受ければ何百メートルも飛ぶといった形状ではありません。次の世代を確実に飛ばすために、雌花の茎が伸びて、種子を風に乗って飛ばしてゆくといった戦略で、種を広げています。

フキは、種だけでなく地中の根を広げます。茎は地上には伸びず、地中で地下茎となり横に長く這って伸びて増殖して、春フキノトウとして地上を賑わします。根茎は地下深くは伸びず、横に這いますが、地表に剥き出しになると光合成のため緑色に変色することがあるとのこと、それを間違ってワサビと誤認されています。地下茎は有毒なので、採集するのはフキノトウのみにしましょう。

このフキの名前の由来は、様々。フキの古名で、冬葱(ふゆき)または冬黄(ふゆき)で、冬にでる浅葱色の植物、或いは冬に黄色い花が浅葱色に近い花の色で咲くという説や、フキの古い名前である布々岐(フフキ)からきているとされる説、フキは「拭き」に由来するというもので、フキの葉がトイレットペーパー替わりに利用されていたことからなどがあります。アイヌの民話ではフキの下住んでいる小さな人を「コロボックル」と呼んでいたとの情報もありました。

今年もフキノトウ、おいしくいただきました。これからは、フキの季節ですね。以前自宅の庭に雄株雌株を一株ずつ移植して、種が実るまでほっておきました。果実の項の写真はその時の姿なのですが、翌年にたくさんのフキノトウを自宅にいながら収穫することになりました。天ぷらが好きなので天ぷらにして…。その年の夏には葉柄の茎も煮ていただきました。お店で売っているように太く大きくはなりませんが数で勝負です。さらに、丸い葉も、初夏の柔らかいときに煮て食べることができます。つまり、フキの地上の部分は旬の季節を見極めて美味しくいただくことができる植物なのです。書いてきてまた、次の春が楽しみになりました。

関連リンク

高森東公園・修景公園の四季 アーカイブはこちらをクリック

関連リンク

高森東公園・修景公園の四季 作成にあたって

同じ分類から探す