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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第三十二回 オオウラジロノキ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第三十二回 オオウラジロノキ
小さなヒメリンゴのような果実を実らせて、動物散布で次世代へつなぐ
英名:なし
オオウラジロノキは、本州、四国及び九州に分布するバラ科リンゴ属の落葉高木で、日本固有種となります。樹高は10〜15m、直径30〜40cmに生長します。日向を好み、やや標高の高い場所を好み、やや乾いた尾根などを好みます。樹皮は灰褐色~紫褐色で滑らか、樹齢を重ねると鱗状に剥がれ落ちてきます。枝の落ちた跡がクレーター状になって目立つのが特徴です。若い樹は、写真上左の細い樹の樹肌の様に突起が幹より出ています。若い樹肌はやわらかく厳しい冬には食料になることも。そうならないように防いでいると思われます。春には白い花を咲かせ、やがて直径2-3cmの小さい果実を実らせます。
和名は、大裏白の木と書き、その由来は、葉の裏面に綿毛があって白く見えることと、同じような性質を持つウラジロノキよりも、樹高や広がりではなく、葉や果実が大きいため、オオウラジロノキと名付けらたとのことです。オオズミとの別名はズミに似て果実が大きいことからきています。
オオウラジロノキの葉は、細枝より互い違いの互生で付きます。葉身は、長さ5〜14cm、幅4〜10cmの広卵形〜楕円形で、先端はとがり、基部は円形または浅いハート形です。若い葉は両面とも白色または淡黄色の綿毛が密生し、特に裏面はビロード状になりますが、成葉になると濃緑色で表面は無毛になるも、裏面は白い綿毛がやや密生したままとなります。若い枝にも綿毛がありますが、成長すると赤みがかった褐色となり、ところどころにトゲ状の突起を生じています。
葉に5~8対の側脈が観られ、縁は細かな不揃いの鋸歯があり、浅く波打つような重鋸歯が観られ扁平形の独特な形を見せてくれます。それらの特徴持つ葉が、まるで枝の先端に輪生しているかのように見えます。ウラジロノキも似るものの、側脈の間隔が広く,整然とした鋸歯が並ぶので見分けがつきます。
オオウラジロノキの開花は5月頃、短枝の先に散形花序を出し、直径2.5〜3cmの花を数個つけます。花弁は白色たまに淡紅色で、花弁の中ほどは淡いピンク色を帯びて美しいです。直径2.5~3センチで花弁が5枚、支える萼も5枚で綿毛を帯びます。5個ある雌しべ(花柱)は基部に白い綿毛があり、雌しべの周りに囲むように雄しべは多数となり40個前後となります。花粉の袋のある葯と雌しべの違いがなんとなく見ていただけると思います。葯が黄色に映る写真と紅色に写る写真がりますが、咲いたばかりの葯は黄色です。集まってくるハナバチらに対して、受粉していない花に目を向けさせる工夫と思われます。
花の後にできる果実は直径2〜3cmほどの球形です。7月には写真のような青リンゴのような実に育ち、次第にリンゴのように紅色を帯び、10月に熟してヒメリンゴのような見た目で下半分が赤黒くなります。頂部に萼片が残っているのが真ん中の写真で分かると思います。リンゴでいうお尻と言われる部分です。果皮が堅く、果肉は緑色を帯びた白色で、石細胞があり、食べれば舌にざらつく、さらに酸味と渋味が強く食用には向かないとされています。でも、完熟の頃なら山登りの途中で、リンゴに似た酸味は疲れをいやし、喉を潤すには良いかもしれません。果実酒には最適と収穫してつくられる方もいます。野鳥と争って採ってみてはいかがでしょう。小動物だけでなく、クマにも冬眠前の貴重な餌となっているらしく、パークタウンでは心配ないかと思いますが、気に留めておいてください。
果実の中には2ミリほどの小さな種子が4~5つ前後あります。この写真を観ると、普段食べているリンゴやナシも、次の世代へ向けて、果実の人間がいただいている部分=果肉は、種子を覆っているだけでなく、動物を誘引し食されることで子孫を広げるためのものなのだと確認できます。それを人間がいただいているんですね。無駄にすることなく、しっかり食べなければと感じさせてくれます。