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更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

高森市民センター

〒981-3203 仙台市泉区高森6-1-2
電話番号: 022-378-9950 
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始

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高森東公園・修景公園の四季 第三十一回 アキノキリンソウ

高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。

その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。

高森東公園・修景公園の四季 第三十一回 アキノキリンソウ

かつては秋を代表する泡立つかのように咲いていた「秋の道端の黄色い花」

英名:Goldenrod

アキノキリンソウは、日本各地の山地や草原で見られる多年草です。早いと8月後半から11月頃まで、北海道から九州、山地や丘陵の日当たりのよい場所に生え、きれいな黄色の花を咲かせます。花の特徴は、何といっても。長く伸びた茎の上部に黄色の花を多数咲かせている様です。花の中心に筒状花、外側に舌状花があり、遠目だけでなく、近くでも見ても可愛い花です。

かつては里山に囲まれた水田の周辺、ため池の土手などにごく普通に見られた秋草の代表です。アキノキリンソウという名前は、「キリンソウ」と似たような黄色の花を秋に咲かせることからつけられました。「キリンソウ」はベンケイソウ科の植物で、5~8月に咲きます。間近に見ると花の形とか違う部分もありますが、黄色い花を茎の先にたくさん咲かせる点で一緒なことから付いたのでしょう。また、「アキノキリンソウ」は別名「アワダチソウ」とも呼ばれます。これは、花が泡立つようにここそこに咲く様からと言われています。

しかし、適した環境…例えば里山の林の枝が間引きされないなど里山の周囲に陽の光が刺す環境が減る、水田に農薬が撒かれる、などの里山の荒廃が進み見られる場所が少なくなったといいます。さらに外来種のセイタカアワダチソウ…黄色の花の穂状の様子が三角形に見える花、に取って代わられて、「秋の道ばたの黄色い花」は、アキノキリンソウではなく、セイタカアワダチソウになってしまったように思えます。

アキノキリンソウに限ったことではありませんが、花が咲くとアキノキリンソウであることはわかりやすいですが、咲いていない状態では手がかりが少なく困ります。結局は花の季節を待つことにして咲いている場所を確認してゆくといったことに。・・・アキノキリンソウもそんな植物の1つです。

冬の間は地上では枯れた状態ですが、地下茎で過ごします。地下でも横に伸び、広がるのですが、セイタカアワダチソウほどの繁殖力は持ち合わせてはいないようです。

春に観られる根生葉は花時には枯れてないが、長い柄がある卵形~長楕円形です。茎の下から中頃の葉は、翼のある柄が観られます。長さ7-9cm、幅1.5-5cmの卵形~長楕円状披針形で先はとがり、縁に鋸歯があります。上部の葉は無柄、長楕円状披針形で表面に毛を散生します。

花が咲く前の見分けは、葉の鋸歯の先端に、小さな粒のような微凸端があり、裏面には葉脈の網目模様があることです。この特徴ある網目模様を覚えておくと同定=特定の手がかりになります。

アキノキリンソウの花の特徴は、何といってもきれいな黄色です。頭花…つまり、長く伸びたそれぞれの茎の先に黄色い花を散房状または総状に茎の上部に多数咲かせます。頭花は直径1.2-1.5cm程の大きさで、それを支える花柄は長さ3-6mmで有毛です。キクと同じような花のつくりで、正式には萼片外側に長さ6-8mmの雌性の舌状花が一列に4~6個ほどと、中心側に両性の筒状花が9~13個と多数集まります。上の写真下中央の花ですと、一つの花に観えますが、頭花といって花の集まりです。黄色い花びらに観える一つ一つが花の舌…舌状花で、中央に観えるのが筒状花です。

筒状花は先に花粉を出す雄性期を過ごし、後に雌性期を迎えます。写真右側で、花粉がたくさんついている花柱と、その隣に、花粉を押し出すように雌蕊花柱が伸びて、花粉が飛び散ってしまったのと、さらにその隣に、雌性期に変わろうと粉を受け止めるべく花柱の先端が2つに分かれ始めた様子が観えます。花粉を受け止める態勢ができているのが上の写真で確認できます。近くでも見ても可愛い花です。雄性期の後に雌性期が来ることで、同じ花からの花粉の受け止めを避けてより強い次世代を残してゆくことに役立っていると思われます。

アキノキリンソウは花が終わると綿毛…冠毛をつけます。この冠毛は果実一つ一つにつき、タンポポのような柄はありません。淡褐色の果実は2.5~3mmで、中には種が1つ入っています。果実の皮は熟すと乾燥して硬くなり、冠毛が帆の役目をして風が吹くと種の入った果実ごと飛んでいく風散布で広がり、落ちたところで発芽条件がそろうと芽を出して次世代へ命をつなぎます。

アキノキリンソウの方がセイタカアワダチソウよりも早く咲き始めますので、黄色い花の頭花を見つけたら、観察してみてください。

アキノキリンソウが筒状化や舌状花の集まりのアキノキリンソウに対して、写真左は春に咲くキリンソウです。花は5弁花のひとつの花となります。違いが分かってくると植物観察がまた楽しくなると思います。

高森東公園では、一周する散策路沿いでも、林野内の木漏れ日が射すところに、あちこちにこっそりと咲いています。丈は低いですが黄色い花なので目立つと思います。今年2024年も外来種のセイタカアワダチソウが咲く前に咲き始めましたので、その前提で9月から観察していると見つけやすいと思います。

※参考にセイタカアワダチソウの写真も一枚入れておきます。この一枚を見ても、他を圧倒するかのように繁殖力が強いことがわかっていただけるかと思います。

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