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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第十七回 ツルマメ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第17回 ツルマメ
夏、旺盛な繁殖力で野原を繁茂しミニミニサイズの枝豆を実らす 大豆の原種
英名:Wild soya bean
ツルマメは本州~九州に分布する1年草。明るい草地・路傍などに生育します。茎は長く伸びて繁茂します。8月の他の植物も我先にと繁茂するこの時期に、茎は細いが強く、他の植物を支えにするかのように伸びています。しかも、周りと同化して隠れているようにも観えます。
8月から9月にかけ、葉腋から房状花序を出して、長さ6mm前後の蝶形をした赤紫色の花が3、4個隣り合わせるように咲くマメ科の植物です。マメ科の莢を作る山野の植物は春先に他の植物が繁茂する前に花を咲かせるのが多いとの印象です・・・カラスのエンドウ、スズメノエンドウ、カスマソウ・・・が、それにあたります。一方取り上げましたツルマメは夏、他の植物に負けじと繁茂します。繁茂する能力が高いことがわかります。
豆果は長さ2.5~3cmで表面に毛が生えており、大きさがわからなければ、枝豆そのものです。実は、ツルマメは大豆(ダイズ)の近縁で、その原種と考えられていて、考古学的には縄文時代の土器にツルマメ種子の圧痕が発見されていることなどから、日本で栽培される大豆は本種の改良したものと考えられているとのことです。
つる性植物の一年草、つるとなる茎は細長く、長さは1~4mまで伸びて、つるは右から左巻きに他の木や草によく絡みつく。太めで強いつるとなり、全体に細い茶褐色で、下向きの粗い毛逆毛が密生しています。前項で紹介した春に咲くマメ科の3種に比べて、最大4mまでに成長して密生した植物の中からつるを伸ばして巻き付き、ライバルとなる植物を足場に力強く陽の光を受けて生長している姿を見つけることができました。
葉は互生で、長い柄を持った3枚の小葉からなる3複葉で、各小葉は披針状(ひしんじょう)の長卵形、長楕円形、披針形などの変異が見られます。葉の縁はなめらかで、大きさは長さ3.5~6.0cm、幅1.5~2.5cmほど。葉の表面と裏面ともに毛があります。小葉の基部には小托葉があり、狭披針形で黄色く柔らかい毛が見えます。
花期は夏から秋の7~9月で、葉腋から房状花序を出して、長さ6mm前後の紅紫色の小さな蝶形花を数個咲かせます。まれに白い花も咲きます。花は2枚の花弁と、2枚のそれより小さい淡紫色の花弁の4枚です。萼(がく)はツリガネ形で5裂し、黄褐色の細かい毛が密生しています。雄しべは10本で、下側の9本が下部で癒着して一体となります。蜜を吸いに来る昆虫を待ち、体に花粉を付ける仕組みで、次の花で雌しべに花粉が届くといったからくりで次の世代へつなげています。
果実は、秋に実ります。上の写真だけ見れば、大豆(ダイズ)の枝豆にそっくりですよね。ツルマメの莢とダイズの莢、大きさが違うだけでそっくりなことは見て確認いただけたと思います。ツルマメは、写真のように枝豆によく似た長さ2-3cmほどの豆果をつけ、黄褐色の粗い毛を密につけるます。莢の中に2~4個の平たい種子が入っており、枝豆同様に食用にすることもできます。何せ小さいので味を確認したいと思いました。10房ほどの種を採集し、茹でて食べてみたのです。枝豆より濃い味と感じました。採集した場所が日当たりの良い場所であったからかもしれません。
2009年に、山梨県北杜市長坂町の酒呑場遺跡から縄文前期のツルマメ種子圧跡が確認され、縄文前期から利用された可能性が考えられているといいます。古より代々人々が栽培し、さらに品種改良したものが大豆になったといわれています。
いろんな記事を読んでいると、ツルマメを今でも利用していることが分かりました。ツルマメとダイズの間の遺伝的障壁はほとんどなく、基本的に交雑可能であることを利用して、野生種のツルマメを生かしたダイズの品種改良をしているとのこと。ダイズの子実成分、耐病性等についての改良を目的に、さまざまな特徴を持ったツルマメの系統と、ダイズの系統とを交配し品種改良に利用された事例があるとのことです。
茹でて食べるために収穫するなら、8月の内にですよ。この秋も暖かい日が続くので、茶褐色になっているミニミニサイズの莢が見つかるかもしれません。その際は、野鳥たちと争って先に収穫してみてくださいね。