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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第三十三回 トウカエデ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第三十三回 トウカエデ
鋭角の翼果の翼 離層しはがれて高速回転で滞空時間を稼ぐ
英名:trident maple
トウカエデは中国原産のカエデであり、漢字では唐楓。日本には江戸時代(享保6年 1721年)に渡来したという。高さ15mほどになる落葉高木。樹皮は灰褐色で、幹は直立します。葉は対生し、長さ3~8cm、幅2~5cmで掌状に浅く3裂しています。葉柄は長さ2~6cmで、葉は秋に紅葉します。雌雄同株。一つの花序に雄花と両性花が混生し、長さ2~3cmの複総状花序に20個ほどついています。花は淡い緑色で萼片、花弁ともに5個です。果実は複総状花序そのままにまとまって実っています。その一つは長さ2cmで種子が2個ずつつき、プロペラ状の翼が伸びて平行~鋭角に開きます。
トウカエデは、現代社会の病の一つ大気汚染に強い特徴を持つことから街路樹に多く用いられています。高森東公園でも、公園化された際に植えられたものと思われるものが大きく育っています。晩秋に葉は紅葉に染まる様がきれいで、11月翼果を飛ばしているところです。
葉は対生で枝から伸びています。最初からそれてしまいますが、カエデの設計図は、葉も、枝も、種も左右対称あるいは対になっています。葉は長さ4cm~8cmで、水かきの付いたアヒルの足のような、掌状の3脈があって中心と両側とに左右対称に浅く3裂しているさまが特徴です。基部は浅いハート形または円形で、裂片は三角形で先はとがっています。成木では全縁ですが、幼木ではふちにゆるい鋸歯がみられます。表面は光沢があり、裏面は青緑色で、やや白みを帯びます。
調べているうちに分かったことがあります。街路樹など選定を繰り返し行われる樹木では、3つに分かれるヒヨコ状の葉が、赤子の手のような5つに分かれる葉が見られるとのことです。
紅葉のきれいな樹木として知られています。9月下旬~10月上旬になると果実(種)のほうは茶色く変色してきているのですが、葉のほうはまだまだ青々としています。植物の種類は落葉高木なので寒くなると葉が落ちるのですが、トウカエデはまだそんな気配はなく、晩秋が紅葉の見ごろです。一本の高木で上のほうから黄色から朱色に、さらに赤く紅葉して緑から赤のグラデーションがとてもきれいに見えることが期待できます。
花の時期は4月~5月です。若葉が完全に開いた頃に咲くのも特徴。細かく分かれた短い花茎に、花を総状(ふさのように)つけたものが、複数集まって円錐の形で魅せてくれる複総状花序を出し、20コ程度の花がまとまって咲きます。花色は薄い黄緑がかった淡い黄色で、一つの花序に雄しべのみの雄花と、雄しべと雌しべがある両性花が混ざって咲く雌雄同株です。写真は上左から…両性花、同受精後成熟期、雄花です。花弁は5個で咢片も5個で花弁は咢片より短くなります。雄しべは8個。雄花では花弁より長く、両性花では花弁より短いので見分けがつきます。花柱と子房には白い毛が密生しています。萼片は5個、長さ約2mmの狭長楕円形。
果実は翼果、つまり翼をもっています。翼は長さ約2cmで、対になった様があまり開かず、ほとんど平行または鋭角に。9月下旬から緑から褐色に熟していきます。カエデの仲間の中で、トウカエデはとりわけ多くの花が複総状花序に咲いたそのままに果実をまとまって実らせています。写真のように密集しているさまがご覧いただけると思います。一つの軸に、花の時の複総状花序そのままに果実10~20個ほどです。
果実の様は、ドラえもんのタケコプターのようです。枝先にその対になった状態でいますが、その多くは対のままでは枝から落ちません。落としたとしても翼が機能しないのです。上の写真は10月第三週に採集した果実です。果実が熟して種が完成し、翼の元の方に対の状態の二個ある膨らんでいる種子が観えています。その膨らんだ種子の間が自然に避けて隙間ができるのです。写真でも裂け目が入っているのが確認できます。
ブーメランって、左右で翼の長さや重さが違うのを知っていますか。指で割って撮影した写真を見て分かるように、種子がある方の先と、無い方の先で、回転を促すブーメランのように廻りながら滞空時間を得て落ちてゆきます。片方の実の形で「翼を得て舞い落ちる(=飛ぶ)」形となります。翼をルーペでよく見ると細かい筋状の隆起があります。触っても指先に感じます。その隆起が気流を変えてブーメランの回転する力を増して高速回転し揚力を生み出してその飛んでいる最中に風を捉えればさらに遠くに飛ぶのです。試しに隆起した部分をやすりで削ってみました。回転数が著しく落ちてしまいました。青く若い未熟な時の果実も翼に隆起がはっきりと見られないことも確認しました。植物の持つ次世代へ命をつなごうとする工夫は本当にすごいと思います。
人間はそのように自然が生み出す現象を研究し利用させていただいているだけなんですね。
ぜひ、種を採集して、真ん中から裏層する前のタケコプターの形そのままの種子と、割って一方だけを飛ばして、比べてみてください。近くには、トウカエデ以外のカエデもあります。色々飛ばして比べてみましょう。