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更新日:2025年3月25日
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高森東公園・修景公園の四季 第十三回 サルスベリ
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第十三回 サルスベリ
千代紙細工のような花 2種類の雄しべで虫を操り、確かな受粉に導き次世代へ命をつなぐ
英名:Crape myrtle
中国南部及びインドを原産とするサルスベリ属の落葉高木です。日本に自生はしないが、自然樹形でも形が整いやすく手入れが楽なのことから、さらには枝先にたわわに花を咲かせることもあって、全国の街路、公園及び庭園等に多数植栽され、その後に野鳥の助けで里山等に広がったと思われます。なんでも江戸時代にはすでに持ち込まれ愛でられていたとの記録が見つかっているとのことです。
名前の由来は、樹肌を観てもらえば分かります。その名前のとおり、木登りが得なサルでさえも登るのに気を使うほど成木の幹は樹皮が剥げ落ちてツルツルしている様からついています。「百日紅」という和名は、花の開花期の長さに由来します。一斉に咲いて短い期間ではなく、長い間花開くことからついています。なお、原産の中国では、唐時代、長安の宮殿にサルスベリの木が植えられていたという伝説が残っていて、宮殿の名前紫微にちなんで「紫微(しび)」と呼んでいます。
サルスベリの葉は、長さ5センチ前後、幅2~3センチの丸みのある楕円形で、全縁…つまり縁にギザギザはなく、葉の先端が尖るもの、尖らないものがあり、葉の出方も枝によって異なります。その多くはコクサギと同じように“コクサギ型葉序”といって、2枚単位で左右交互に生じます。上の写真でも細枝から下方に2枚、その後上方に2枚出ているが分ります。ただし、若い枝から生じる葉ほど、一枚単位で葉が対になって生じるなどの、疑似対生のような葉序もあり、コクサギほど2対互生がはっきりしないとのことです。
両面とも無毛で葉柄は非常に短くほとんどありません。葉には角質があって照りがあり、葉脈もはっきりとしています。8月には葉も大きくなり、厚くもなっていきます。秋に黄あるいはオレンジ色に紅葉します。
サルスベリの魅力は何よりも花です。自然界でも花の出現が少なくなる梅雨時期の6月から、9月の終わりまたは10月の初めまで、長い間咲かせてくれます。樹木から枝を大きく横に広げて、本年枝の先に円錐花序といって、小さな花の集合体を枝の先に房のように咲かせます。たわわに花を咲かせるので花にも樹形にもボリュームがあり、遠くからでも目を惹きます。
花弁はほぼ円形だが不規則に縮れてくしゃくしゃした様で6枚あります。その基部に長い柄が「爪」のようにあり、独特の花冠になります。その爪はつぼみの時期に覆っていたものだと分かります。
雄しべは多数(数えた中では30~46本)観えますが、2種類あります。特に6本の長い雄しべの葯は紫褐色、他の短い雄しべの葯は黄色です。サルスベリと同様に虫媒花の花には、このように2種類の雄しべを持つ花は少なくありません。庭先でよく見かけるツユクサも2種類の雄しべを持ちます。一方は、生殖能力はありませんが、虫を引き付ける役目を担っています。言わばイミテーション的な役目で、短い黄色い葯を持つ雄しべがそれになります。集まってきたハナバチが花粉を集めることに夢中になっているときに、その体に長い雄しべの先の紫褐色の葯をくっつけてもらい、次の花で雌しべに花粉を付けてもらうといったねらいがあります。長い雄しべがカールして下向きになっているのが、ち密な計算された次世代へ命をつなぐ仕組みです。
雌しべは一本で、こちらも長い雌しべ同様にカールしており、もしかすると葯の無い雄しべに観えるかもしれません。
花弁の色は、濃いピンクや白が良く見かけますが、赤、淡いピンク、紫や複色の花弁もあるとのことです。
花の後にできる果実は、直径7ミリほどの球形で10月後半から11月に熟します。6月から花が咲いているので、もっと早く果実を実らせるかと思えますが、10月に確認できる実はまだ青くて、つぼみかと見間違うほどです。熟すに連れて茶褐色に、さらには色濃く黒褐色へ変化していきます。
果実は、上向きのくす玉のように先端から6裂して開いて種子を飛ばします。種子は長さ4〜5mm、ひとつのくす玉から30個ほどの種子が飛んでいきます。広い翼がある風散布で、色の濃いところが種子、薄いところが翼の役目を担います。ひらひらと風でも遠くへ運ばれますが、マヒワやカワラヒワなどの野鳥も採餌して糞で種子を拡散させる鳥散布・動物散布でもあります。
種が飛び終わった実の殻はチューリップの花のような形をしていて、ドライフラワーにして、花が開いたかのように観えることから人気があります。
サルが、皮がはげて滑るほどのサルスベリですが、その皮がはげると白色に、それから薄白緑色になっていきます。さらにしばらく経つと緑茶色に戻ります。これは、幹が光合成をしているからです。百日間も咲き続けるサルスベリ、そのためにはより多くの養分が必要・・・、そこで、葉だけではなく幹でも光合成をしていく事で補っていると推測されています。樹木の樹肌で光合成をしていると思われる樹木はまだまだありますよ。調べてみてください。そして高森東公園に行って見つけて触ってみてください。つるつるすべすべかどうか確かめてみてください。運が良ければ、古くなって茶褐色の薄皮…光合成の役目を終えた薄皮を剥がせるかもしれません。