第二十回 ムクゲ
2024年9月1日
高森周辺、そして泉パークタウンは、かつて七北田村の中心部から北西に広がる七北田丘陵と呼ばれる小高い丘が広がっていた地域で、高森辺りには立田山と呼ばれていた小さな山があって、その中に高森と呼ばれていた地域があり「高森」の名がついたとのこと。
その状況が示すように団地造成後も、立田山とその周辺の自然豊かな堤と里山が、堤と公園として幾箇所も残されました。その中から、高森市民センターの南と北に位置する「修景公園」と「高森東公園」の豊かな自然の様子をご紹介します。
高森東公園・修景公園の四季 第二十回 ムクゲ
夏から秋まで花期が長く、種子を覆う金色の髪で風を捉え遠くに飛んでゆく
英名: Rose of Sharon、Althaea frutex
中国などの東アジアを原産とする、樹高3~4mのアオイ科の落葉低木樹です。現在では世界中の温帯で広く育てられており、日本では古の時から入ったとされ、平安時代初期には人々に愛でられ、江戸時代から多くの品種が作られて、花弁は五弁の一重、八重、半八重咲きとあり、色はピンク、白、紅紫、水色など色鮮やかで、夏にハイビスカスを小ぶりにしたような大きな花を咲かせてくれます。ハイビスカスを始めフヨウ属は耐寒性が弱いものが多い中、ムクゲは耐寒性が強く、冬は落葉して越冬します。
ムクゲの花は、その年に伸びた枝の葉の脇に咲かせてくれます。花は一日花で、朝に開花して夕方にはしぼんでしまいますが、次々と花を咲かせてくれるので、そうは感じさせない勢いのある樹の花です。花はハイビスカスと同じ仲間なので大きめで5~10cm程の大きさです。花びらは、5弁がやや重なって並びます。
果実は蒴果で卵形をしており、長さは約2 cmの大きさです。その果実は黄褐色の星状毛が密生しています。10月頃に完熟して頭部から5裂して種子を覗かせてくれます。左上の写真を観ると離層する線がなんとなく観えていますよね。
最後にアオイ科の「ムクゲ」「フヨウ」「タチアオイ」の違いを紹介します。どちらもアオイ科の5弁の花です。
・ムクゲとフヨウは、低木で、タチアオイは野草です。
・花の咲く時期は、タチアオイが6月からと早く咲き始めます。ムクゲはご紹介してきましたように、9月いっぱい、生育環境が良ければ10月頭でも花を咲かせてくれます。フヨウは8月いっぱいとのことです。
・雌しべが太陽の方に上向きに迫り出していたらフヨウです。花の大きさも他に比べて一回り大きくなりますが、目の前に3種が咲いていたら比べられますが、そんなシーンばかりとは限らないので、次の葉を参考にしてください。
・フヨウの葉は、大きくて目立ち、手のひらみたいに横にも広がっています。ムクゲの葉は、形は卵形で花より小さめなので分かりやすいと思います。タチアオイの葉は、ハート形で葉脈が無数に観え、鋸歯が他に比べ細かくあります。
ムクゲ、フヨウ、タチアオイは、山野や里山で観るというよりも、お庭で咲いている姿や、公共の公園の花として観ることが多い花です。風に飛ばされたのか、鳥の糞に交じってこの地で育ったのかは、はっきりしませんが、高森市民センターの駐車場から観察できます。
高森中学校側にも白花のムクゲを確認できました。
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