真美沢公園の四季 第十一回 キンミズヒキ
2022年8月14日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第十一回 キンミズヒキ
秋、茶筅に似た強力なひっつき虫に変身
英名:hairy agrimony
盛夏から初秋にかけて、キンンミズヒキ(金色の水引)と呼ばれる、めでたい名前を持った花が野山を彩ります。真美沢公園内の小径を歩くとその脇に黄色い小さな花をたくさんつけている細長い花穂を見つけました。熨斗袋(のしぶくろ)につける金色の水引に似ていることからこの名が付いたとされています。北海道〜九州の林縁や道ばたや草地に生える。高さ30〜100cmほどに伸びる多年草。全体に粗い毛が生えており、穂状にたくさんの花を咲かせてくれます。秋、熟した果実(タネ)は「ひっつき虫」として、動物や人間の衣服について生域を広げてゆきます。
雄しべは8~14個あり、花弁よりも短いです。その下の花床筒はスカートのような倒円錐形で、長さ5-6mm、径4-5mm。花びらを支える萼片も5個です。花期を終えると萼片が閉じて円錐状になるのが特徴です。その萼片の周り(縁)にも副萼片と呼ばれている突起が多数あり、後に大切な役目を持ちます。
自分の子孫を残してゆく戦略に、風で運んでもらったり、昆虫や野鳥に運んでもらったり、水に浮いて流れていった先で・・・といった様々な戦略で次に命をつなぐ中、ひっつき虫は、動物の体に引っ付いて後に剥がれて落ちた先で芽を出して命をつなぎます。
その萼筒の果実、旅立つ仕組みは良く作られたもので、未熟なうちはほっそりとしているため、たくさんある針の返しが近接し、さらに方向も円の中心に向けて同じ方向にと引っかからない。実って種子の準備が出来上がった時には、ふっくらとむちっとなって針と針の間隔も開き、さらに針の返しの方向も、萼筒全体が乾燥するのと合わせて四方八方へと拡がっていくので、どちらの方向から触られてもすぐに“ひっつく”といった具合となるのです。自然の営みって、ほんとう良くできているんだなと気づかされます。
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