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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第八十五回 キセキレイ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第八十五回 キセキレイ
胸からお腹まで黄色のセキレイ
英名:Grey Wagtail
キセキレイは九州以北のほぼ全国で、留鳥または漂鳥として繁殖、夏季は渓流沿いなどに山地に好んで棲み、冬季、積雪地に棲む個体は暖地へ移動する留鳥或いは漂鳥。体長20cm程で、胸からの体下面は黄色となり、脇や眉斑が白いことが特徴。「チチン、チチン」或いは、「チチチ、チチチ」とかと高く澄んだ声で、特に飛翔時に鳴くことが多い。警戒心が高い野鳥。
キセキレイは、平地から高山までの水辺、渓流に沿って生活するものが多く、小さな流れでも観察できます。同じセキレイの仲間、セグロセキレイ、ハクセキレイとは概ね棲み分けて、水辺を好んで棲み、冬季、積雪地に棲む個体は暖地へ移動します。そのため、冬季には市街地の水辺でも観察できます。きっと、真美沢沼もその機会に恵まれていると思います。
冬季は単独で、夏季は番いで行動し、警戒心が強いためか、常日頃みられるセグロセキレイやハクセキレイに比べて見かける頻度は圧倒的に低いです。この冬も見かけました。縄張りとしているキセキレイを捉えています。沼周りの小枝や擁壁に止まっていました。やっぱり水辺が好みのようです。
キセキレイの全長約20cm、翼開長は約26cm。成鳥の夏羽は頭部から背、肩羽がやや黄緑色みを帯びた灰色です。胸からの体下面と腰、上尾筒は黄色となり、脇や眉斑が白いことが特徴です。翼は黒褐色で、三列風切の外縁は白色です。尾は黒褐色で、嘴は黒色です。脚は黄褐色です。
雄雌の見分けは、喉元で見分けますが、季節によっては難しくなります。喉は雄が黒色ですが冬羽は白くなります。雌ではほとんどは白色だが、たまに夏場で黒色のものまで変異があります。成鳥冬羽では雄の喉は白くなり、雌雄共に胸からの体下面の黄色は夏羽に比べ淡くなります。
渓流釣りでよく出会うとされているセキレイ類ですが、そのうち、川の上流部にキセキレイ、中流部にセグロセキレイ、下流部にハクセキレイとおおまかに棲み分けているとされています。セグロセキレイやハクセキレイは黒松で一年中観察できます。対してキセキレイは冬場だけです。漂鳥としてやってきていると思われます。
名前は見た目の通り、身体は細く、尾は長く、胸・腹・腰のカラーが黄色であることから、「黄鶺鴒(キセキレイ)」という名が付けられました。冒頭で気づいた方もいるでしょう。英語表記ですと「Grey Wagtail」となり、黄色でなくグレーなのです。そのワケは?英名はイギリスが元になっているものが多く、イギリスではツメナガセキレイが普通に繁殖していて、体色がやたら黄色いため、こちらが先にYellowをつけられYellow Wagtailに、よってキセキレイが英名では「Grey Wagtail(灰色セキレイ)」となっているとのこと。
キセキレイの地鳴き(鳴き声を文字に表しているので人による主観が入ることをご了承ください)は「チチン、チチン」或いは、「チチチ、チチチ」とかと高く澄んだ声で鳴く。特に飛翔時に鳴くことが多いとのこと。大きな波形を描いて飛翔しながら鳴くことが多く、仲間とのコミュニケーションであるという説が有力とのことです。さえずりは「チチチチ」「ツィツイィツィ」「チョチョチョ」のように組み合わせて、或いは少し濁って「ヂヂヂヂ」という声で、繁殖期には電線や屋根の上に止まりながら囀ります。鳴き声でセグロセキレイやハクセキレイとキセキレイとの区別は難しいですが、比べると順に「ジジィジジィジジィ」「チュチュンチュチュンチュチュン」「チチンチチンチチン」と鳴き、キセキレイのほうが甲高いとのことです。文字にすると相当違うように感じますが、音で一種だけ聞いて、どのセキレイの鳴き声なのかは、慣れて覚えていきましょう。キセキレイは縄張宣言のためでしょうか、見晴らしの良い1箇所に30分以上とどまってさえずることがあるとのこと。
成鳥は主に水辺の昆虫や昆虫類、クモを餌としています。地上や水辺で、常に長い尾を激しく上下に振り、交互歩行で活発に歩き回りながら地面や水面をついばんだり、水面を飛んでいる昆虫を捕らえたりします。空中に飛び上がって虫やクモをフライングキャッチする技も持っているという。
「セキレイの仲間はどうしてよく尾を振るのか?・・・ですが、セキレイのように尾が長くない小鳥でも歩く際は尾を上下させているんです。ただ、わかりづらいゆえにセキレイの尾が長く尻ふりだけが「かわゆい」。—なぜかは、よくわかっていないが、研究が進んでいて、尾を振る動作は雌雄や季節、採食行動には関係がないこと、捕食者への警戒…お前に向けての警戒はしつつ地上で餌を探しているんだよ。襲っても捕まらないよ…的なシグナルを、観たものに感じさせている—との研究があるようです。3種のセキレイの中ではキセキレイのふり幅が大きいとの指摘もあるようです。確かに最後に捉えた真美沢沼の周りの擁壁で歩く姿、尻フリフリでした。