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更新日:2025年3月25日

泉区 センタートップ

黒松市民センター

〒981-8006 仙台市泉区黒松1-33-40
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真美沢公園の四季 第六十五回 ヌスビトハギ

真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。

第六十五回 ヌスビトハギ

果実はブラジャーが乾してあるかのようにいくつも並び、マジックテープのように面でくっついて広がる

英名:なし

日本全土の平地から山地の草地や、林縁や路傍などに生える。草丈は高さ0.6〜1.2m。その約半分は花穂です。葉は3小葉で、頂小葉は長さ4〜8cm、幅2.5〜4cmの卵形〜長卵形で、側小葉はやや小さくなります。花は細長い花序にまばらにつき、淡紅色で長さ3〜4mm。花は長さ3~4mmほどの小さな淡紅色の花を細長い総状花序につけます。節果(さやのような姿)には長さ1〜3mmの柄があり、ふつう2個の小節果で一組となります。小節果は長さ5〜7mmの半月形。節果の表面に密生した細かなカギ状の毛で動物などにくっつきます。

茎は細くて硬く、茎の根もとはやや木質化してさらに硬いです。株立ちになって立ち上がり、ややまばらに葉をつけます。托葉は針状披針形。本葉は長い葉柄の先に三枚の小葉がつく三出複葉です。頂小葉だけにはっきりした柄がある姿から、3枚の葉だけとなるが“羽状複葉”である証拠との解説もありました。頂小葉は長さ4〜8cm、幅2.5〜4cmの卵形〜長卵形となり、側小葉は一回り小さく見えます。葉裏は淡緑色で、網状脈が目立ちます。

名前にハギとありますようにハギの特徴となる蝶形花、目立つ旗弁と二枚貝のような2枚の竜骨弁に2枚の翼弁が挟む姿はそのままに、ミヤギノハギやヤマハギ比べると何とも…。花が小さくかわいい花だけに似つかわしくないその名前の由来には諸説あるようですが、その一説として節果の連なりが、足袋をはいていた時代のつま先歩きをした盗人の足跡に似ているためという説や、後節しますが、実が知らない間にこっそり衣服に付く様が盗人っぽいので「盗人萩」となったなどがあります。皆さんは形を見てどう感じますか・・・。

花は細長い花序にまばらにつき、淡紅色で長さ3〜4mm。ほどの小さな淡紅色の花を、茎の先端の方から数個の細長い総状花序をつけます。咲いたばかりの若い花ほど赤みが強いと感じました。受粉する際の次世代への戦略は、虫が止まり蜜を吸いにゆくと雄しべと雌しべが出てくるのです。雄しべは9本が合着していて、1本が別になっています。雌しべはこの9本の合着した雄しべに包まれています。虫は無理くり蜜を求めて小さな花の奥に頭から突っ込んでゆき、閉じられた花を開く際に、虫の体に雄しべがついて、次の花に行って受粉するといった仕組みです。9本の合着した雄しべは花粉を虫に預けて去ってゆくと、包まれている雌しべ受粉の準備が始まるといったつくりになっているとのことです。左下の花はハチが来て花粉の付着が終わって、さらに受粉の終わって花弁が開ききっている様子です。

開花時期は早いものであると7月下旬から8月、9月にかけて、見頃となります。また9月だと、総状花序と先に咲いた花の実が熟し、節果となった姿とが同時に見られます。初秋の訪れを密かに告げてくれる植物である。

節果(さやのような姿)には長さ1〜3mmの柄があり、ふつう2個の小節果で一組となり、まるでブラジャーがいくつも干しているかのようにみえます。個々の節に一個の種が熟します。節果の側面には赤褐色の斑紋があることが多い。また、その表面は触れるとざらつくが、ルーペで覗くと、表面には細かな鉤状の針が並んでいるためで、これによって衣服などによくくっついてくる。言わば面ファスナー方式或いはマジックテープ方式のひっつき虫です。

ヌスビトハギは知らなくても、ひざ上程に草が生い茂った林縁を歩いて散策した後でふとズボンを見やると、愛犬を遊ばせた後でからだ全体にと、この節果がびっしりくっついていて面倒なことになった経験がある方も少なくないと思います。ヌスビトハギにとっては、貼りついた相手と一緒に旅に出て移動し、落ちてその偶然性に欠けていて、良い土地ならまた芽吹いて広がってゆくといったねらいです。

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