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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第三十四回 ホシハシロ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第三十四回 ホシハシロ
赤褐色と黒褐色と灰色のコントラストが目にひく潜水カモ
英名:Common Pochard、Eurasian pochard、European pochard
ホシバシロは、ユーラシア大陸の中北部、分布・繁殖しています。西はスペイン・イギリスから東は中国東北部のシベリア(バイカル湖)までだが、記録上であるが北海道東部でも繁殖が記されています。
日本では冬鳥で、緯度によって異なるが10月中旬から、全国の静かな海湾や、平野部,山間部の湖沼などさまざまな環境に渡来し生息。そして、3月になると北へ渡り始める。繁殖形態は卵を産み抱いて孵化させる。水辺のイグサやヨシの茂みや水面に浮かぶ水生植物の上などにヨシを積み上げた巣を作り、一度に8-10個の卵を産み、メスのみが抱卵する。抱卵期間は24-27日。雛は孵化してから50-55日で飛翔できるようになり独立する。生後1-2年で成鳥となる。
11月にはすでに真美沢沼に数組の番(つがい)がやって来ていました。逆光に番を捉えました。
ホシハシロのからだのサイズは、全長42~49cm、翼長20~22cm、翼開張72~82cm、体重0.5~1.3kg。カラスよりも小さい中型のカモとなります。カモ類の多くがそうでるように、ホシハシロもオスの装いは派手で、メスは地味です。
オスは、赤褐色と黒褐色と灰色のコントラストが目にひく。頭から頸が盛り上がるように茶色、胸が黒色、背中が白っぽい灰色。その灰色に見えるのは実は、白い羽に黒い斑点が散りばめた様子で、遠目に灰色に見えるのです。この様子を実に的を得た表現で表した方がいて、‟背全体がカイコのマユのように盛り上がって、しかも輝いて見えることがあるのを捉えて「星をちりばめたようだ」と“したのです。もうお気づきですよね。ホシハシロは、この説明の通り『星羽白』なのです。さらに、目がルビーのような鮮やかな赤色であることもオスの特徴です。
一方、メスは全体を地味に装っており、体全体が黒褐色です。マガモやカルガモも同様なので、区別がつきにくい。ちなみにホシハシロのくちばしは黒いので確認してみてください。この地味さを日本人はどういうわけか、取り上げ方が上手で、模様が「矢絣(ヤガスリ)」のように…矢羽根の模様を表した絣柄…浮き出して見えると評し、これをたいそう美しいと感じるというのです。あなたはどう感じますか。
ホシハシロは、潜水して餌を探すのが得意なのです。水中での運動に適するような機能を身体が具えているということです。ホシハシロに限らず潜水できるカモの大きな特徴は、潜らないカモと比べて足が後ろのほうについている、という点です。このほうが、水中に向かって水を掻くのに勝手がいいのです。一方この体系は歩くのには適さないようで、カルガモやオナガガモが水際を上がって歩く姿は何べんもみましたが、ホシハシロが歩いている姿は見たことがありません。また、飛び立つときも、助走しながらバタバタと羽ばたいています。足の位置から、羽ばたく際にも苦労しているのでしょうね。
エサを探すのは主に夜とのことです。水の中に潜ることができ、アマモ、エビモ、キンギョモ、マツモなどの水中藻類や、植物の茎や根、貝類、昆虫、甲殻類、軟体動物、環形動物などを探して食べます。観察していると、朝夕も潜っているようです。日中は、写真のように首をすくめて中央の方で群れて休んでいます。正面から見ると三角おにぎりの様にも見えます。
ホシハジロは、「クルッ クルッ」という声を出します。パンやお米など餌となる穀物を持ってくる地域の方が来れば、カルガモやオナガガモは沼の各所から飛んできますが、ホシハシロは警戒心が強く、目できる距離でも見向きもしませんでした。きっと慣れてくれば集まるでしょうね。