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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第三十五回 ヒイラギ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第三十五回 ヒイラギ
クリスマスでおなじみのギザギザは葉身を護る突起
英名:False holly、Holly olive、Chinese-holly
福島県以南の本州、四国及び九州に分布するモクセイ科モクセイ属の常緑樹で高さは高いと4~8mほどになる日本原産の常緑小高木です。書籍を調べていると、福島以南とも、関東以西とも記されているが、温暖化なのか宮城でも生育しています。低地の森林に生育し、やや乾燥した場所に多いとのこと。ヒイラギの葉といえば、クリスマスケーキの飾りについているなどギザギザの印象が強いですよね。観察すると全縁の葉も多いです。答えは後程。花は、10月~11月に葉に隠れるようにして、その花冠は直径約5mmで、4つに深裂して反りかえる姿は愛らしくも…。花の後にできる果実は核果で、翌年の初夏にかけて、黒紫色に変化し熟します。
真美沢公園で観察している樹はどれも人の背丈より低い樹ばかり、とげのある葉がほとんどです。きっと野鳥がヒイラギの果実をどこかでついばんで糞として公園内で落としたところから育っていると思われます。ヒイラギは邪気を払う縁起樹として植えられる家もまだ多いでしょう。周りは古くからの団地ですから。
ヒイラギの葉といえば、ギザギザがあるのが特徴ですよね。葉は対生で、葉身は長さ3〜7cm、幅2〜4cmの楕円形、厚い革質で硬く、表面は光沢があります。葉の縁に2~5対のトゲ状の突起、これは、若木の葉で、老木の葉はたいていがヒイラギらしくない楕円形の全縁の葉になるという。さらに、一本の樹に注目しても、下の方の葉はトゲトゲしており、上に行くにつれて全縁の葉になります。トゲは動物の食害を防ぐために作られると考えられます。成熟した葉に比べれば若い葉は柔らかく食されるのでしょう。それが証拠に上の方の葉や、食害の心配のない環境ではトゲのない葉ができているとのことです。さらに春先の若い葉は、表面に鈍い赤色の毛でおおわれています。育ちとともにその赤い色はなくなって緑色に光沢します。
ヒイラギの名の由来は、その最大の特徴であるトゲ状の葉が肌に刺さったときの痛痒さを、古語で「ずきずき痛む、うずく」と言う意味の「ひいらぐ」。木になる葉なので、「ひいらぐ木」。さらに転じて「ヒイラギ」となったのが有力とのこと。漢字表記で「柊」と書くのが一般的です。刺さると痛む・うずくと言う意味の「疼」の字を当てた「疼木」でも「ヒイラギ」と読み、同じ樹を指しているとありました。
ヒイラギの花は雌雄異株、10月~11月になると小さな白花を葉の付け根に、葉に隠れるようにして、かたまって花を咲かせます。香りのよいことも手伝って、花の咲いている様は、キンモクセイやギンモクセイを思わせます。花の一つ一つは小さいですがかたまって咲くので見栄えがします。
花冠は直径約5mmで、4つに深裂して反り返ります。突き出した2本の雄しべが目立つ花です。雄花は、突き出た雄しべは2本が目立ち、花の真ん中にかすかに雌しべが痕跡として観えるといった様で、結実しません。雌花と見えるのは両性花で、子房が膨らんで出ている雌しべと、角のように突き出した2本の雄しべが観えます。
花の後にできる果実は核果で、長さ1.2〜1.5cmの楕円形です。緑色の果実は、翌年の初夏(5~7月)にかけて、黒紫色に変化し熟してゆきます。果実は水分を含み、果実の先端は少しへこみ、その中には直径9ミリほどの種子ができます。
ヒイラギの果実には、多くの野鳥が集まります。晩秋から冬の間は、野鳥たちにとって餌に乏しい季節、人気の果実となります。ヒイラギにとっても、わざわざ寒い時期に花を咲かせているのはこのためでしょう。種は落ちたところで簡単に発芽するとのことです。
樹皮は灰白色。幹の直径は最大30センチほどで、若い樹では、淡い白色の樹皮なるも、樹齢を重ねると網目状に剥離し、灰白色になります。幹は直立するが枝分かれが多く、大きな材木はとれない。しかし、緻密で材に狂いが生じにくいことから、ソロバン玉、櫛、将棋の駒、印鑑、楽器(三味線のバチ)などに用いられます。
ヒイラギは、日本では古くから親しまれ、邪気を張る縁起の良い樹とされています。節分にイワシの頭等においの強いものをヒイラギの枝に刺して玄関に掻ける。そんな風習があると調べてゆくうちに知りました。「柊鰯(ひいらぎいわし)」といいます。
節分といえば、邪気を払い健康にすごせるようにという意味を込めて、「豆まき」をしたり、「恵方巻き」を食べたりは、だいぶ日本中に認知されてみんなが行っている風習ですよね。さらに、主に西日本の方だと聞いていますが、豆まきや恵方巻き以外に「柊鰯(ひいらぎいわし)を飾る」風習があるとのことです。柊鰯を飾る時期についても、地域によって、小正月の翌日から節分まで飾る場合や節分の日のみ飾る、さらには次の節分の季節まで飾っておくこともあるようです。
節分の豆まき同様に、鬼を追い払い魔除けや厄除けを目的として伝わる風習のようです。柊と鰯にはそれぞれ役目があります。柊の葉の棘は鬼の目を刺すことで鬼の侵入を防ぎ、鰯を焼いた煙の臭いを鬼が嫌がって近寄らないと言われています。さらには、病気や悪いものを遠ざけるといった意味があるそうですよ。
真美沢公園から春に種を採ってきて撒いてみては…。比較的簡単に増やせるとのことです。