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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第六十六回 ワレモコウ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第六十六回 ワレモコウ
赤茶色の花穂は、咲き終えた後の姿、花は花弁の無いピンクの萼の姿で歩先から順に咲く
英名:burnet bloodwort, great burnet
北海道から九州の高原などの日当たりのよい草地に生える宿根多年草です。地下茎でも増えてゆき太くて短いです。根出葉は長い柄があり、羽状複葉、小葉は細長い楕円形です。その葉は細かい鋸歯があり、互生しています。8~10月に茎を伸ばし、70~100cmに伸び、その先の穂は短く楕円形に、暗紅色に色づく有限花序で花が咲きます。一つ一つの花は小さく2mm弱で、花弁はなく、赤みを帯びた茶色の部分は萼で、萼に赤茶色が長く残る。花の後にできる実は痩果です。
ワレモコウの葉は、茎の下部につくか、根際から伸びています。奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、5枚から13枚で1組となります。私が見つけた時期は5枚から7枚くらいでした。小葉の一枚の形は長めの楕円形で、細かな鋸歯があり、互生して生えています。葉は柔らかく、天婦羅にして食すれば風味があっておいしいとのこと。食糧難の時代にはこの若菜を米に混ぜ、カサ増しして食したという。
ワレモコウは8月から10月にかけて、70~100cmほどに茎をのばす。花は枝分かれする茎の先端に密集してつき、花は「有限花序」の咲き方となります。穂の先端から咲き始める咲き方をいいます。全体で1~2cmほどの短い穂になります。実は、その有限花序の小さな花、その集まりのように観える花序は花弁はなく、実は萼が集まったものです。つまり花びらが落ちるような姿は、花の後も見せません。
その穂に咲く一つ一つの花(花弁ではなく萼)は小さく2mm弱で、ピンクの花を上から順番に咲かせていきます。いつも見かける印象の残る赤茶色の花は、花の終わった姿です(下の写真参照)。上の写真を見ていただくと、ピンク色の部分が見えると思います。雄しべも4本で萼より長く恋エンジ色の葯がみえます。
ワレモコウは、源氏物語にも見える古い名称です。漢字表記においては「吾木香」「我毛紅」「我毛香」「我妹紅」など様々に書かれてきており、「〜もまた」を意味する「亦」を「も」と読み、「吾亦紅」と書くのが現代では一般的となっています。
花の後にできる実は痩果。熟しても裂開せず、小さな乾いた果実で,中に四角形の種子を持っています。枯れて茶褐色になった2mm程の萼の根元に果実がありました。種類は他にピンク色の花を咲かせるピンクタンナという、夏頃に花を咲かす種類もあるとのこと。こちらも淡いピンクできれいですね。真美沙沼周辺ではまだ見つかっていません。