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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第二十二回 オニグルミ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第二十二回 オニグルミ
クルミは硬いですが、水に浮いて生域を広げます
英名:Japanese walnut
オニグルミは北海道〜九州の川沿いや窪地など、水の流れ沿いによく生えている落葉高木です。高さ7〜10m、高さ30m,太さ1m近くになります。雌雄同株で葉は互生。奇数羽状複葉、縁には細かい鋸歯があります。雌雄同株。花期は5〜6月で葉の展開と同時に開花します。実は9〜10月に熟します。その実の中の堅果は長さ2.5〜3.5cmで、先端は尖り、表面にはしわがある。種子はクルミとして食べています。ご存じですよね。
葉は,互生つまり互い違いにつきます。奇数羽状複葉といって、頂点の葉を中心に両側に羽のように小葉が4~10対並び,中央部ほど大形で長さ10cm幅4cmほど。葉柄を含めた長さは70~80cmにもなり、それで一枚の大きな葉となります。葉の先端は短く尖り、基部は丸みを帯びた卵のような形にちかい、縁には細かい鋸歯があります。表面は無毛。裏面には毛が密生しています。
花期は5-6月ごろで葉の展開と同時に開花します。雌雄同株。写真のように、雄花は、雄花序といって多数房となって穂が垂れ下がります。長さ10〜22cm程となります。穂には小さな雄花が密集して咲いています。雌花は観察しにくいです。隣の葉の大きさで比較して感じて下さい。新枝の先に10個ほど穂になって咲きますが小さいのです。雌しべは真っ赤で二股になります。目線とは一段高い樹上に咲いていて気づかずに終わっていることも。
さらに、気づかずに終わっていた理由に、水の流れの岸辺に林になっていることもあり、近づきにくいのがほとんど。さらに、オニグルミは「木によって雌花と雄花の咲く順序が異なる」との情報も教えていただきました。その木々の関係で、雌花が先に咲いたあとしばらくしてから雄花が咲く木もあれば、その隣の木は、逆に雄花が咲いたあと雌花が咲き始めるとのこと。林の中で木々は、お互いに花粉をやりとりして、同じ木の雌花雄花ではない交配をしているらしい。
果実は、核果状の堅果。クルミと呼ぶとその堅いしわの深い長さ3〜4cmの卵球形の堅果を思い浮かべられると思います。樹上では、その堅果の外側に緑色の厚い肉質になった花床に包まれて育って次第に大きくなっています。その肉質にはタンニンが多く含み、実が結実するまで捕食者から守られています。実は8個前後を房のように密につけ、径4cmほどの卵球形です。9月末から10月にかけてとなるかと思います。完熟した実の花床が黒ずみひびが入り乾燥するとともに中の核果が、樹からぬけ落ちます。動物に集められてしまう実もいますが、水にうく核果は水たまりに浮き、水路にはまった核果は、川に流れて、運が良ければ海まで運ばれ河口近くの海岸に打ち上げられるものも。クルミは海岸で拾うものだと疑わずに信じていた人がいるほど打ち上げられるのです。オニグルミはそういった戦略で、次世代へ命をつないでいます。
人間がクルミとして食べているのは、仁と呼ばれている堅い核の中身の部分です。オニグルミの仁は特にきれいに取り出すのは容易ではありません。でもその分味は多くの油分とタンパク質を含み、極めて優良な食品ですよね。でも、ミックスナッツやケーキに飾られているのは、テウチグルミやシナノグルミと呼ばれている種がほとんどです。自分で採集して食べるしかありませんよ。
堅果は、ツキノワグマでも歯が立たないほど堅いと聞きます。おいしい栄養満点の堅果は、リスやアカネズミらの特壇上となっているとのこと。彼らは、冬季の常備食として土に埋められ、それらから忘れられて春まで残された実から、分厚い落葉を貫いて芽が出て育ってゆく。それほどの栄養を蓄えた堅実となります。最近では賢いカラスが、車の通る道に落として踏まれて割れるのを待って食べている映像を見ました。
最後にオニグルミのユニークなところをご紹介します。冬芽の表情です。冬芽は裸芽。円錐形で先端はとがり、褐色の短毛が密生する。頂芽は特に大きく、長さ1〜1.6cm。葉痕は隆起し、大きくてよく目立っています。よく見ると維管束痕は3つ。人間の視覚感覚の助けもあって、目と口のように見えることから、ユニークな表情が現れます。サルの顔に観えたり、サイの顔に、時にはインディアンの顔に観えたりも。冬芽は乾燥に弱いためなのか川筋や沼や湖の水辺に生育しています。真美沢沼周辺にも。クルミを集めようにも、斜面にせり出しており、転がり落ちたら・・・とあきらめました。身近な所では黒松生協の道向かいにあります。