ページID:1095
更新日:2025年3月25日
ここから本文です。
真美沢公園の四季 第八十四回 トビ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第八十四回 トビ
森の掃除屋 鳴き声も郷愁を誘い最も身近なワシタカ類の鳥
英名:Black Kite
トビは、日本では全国で留鳥として高山から都市部までほとんど場所を選ばず、河口、海岸、河川など水辺を生息場所にします。大きさは全長が59~69cmでカラスより一回り程ほど大きいです。トビの体色に似た茶褐色を「鳶色」といいます。濃い茶色や褐色と、白のまだら模様で藪の中では廻りに溶け込んで見つけられないことも。トビはその大きな翼を上手に使って、うまく上昇気流をつかみます。上空で翼を広げて、あまり羽ばたかすに旋回する。「ピーヒョロロロ」というお馴染みの鳴き声が郷愁を誘いますよ。真美沢公園でも何度も聞いています。
日本では全国で留鳥として見られ、一年中同じ場所で繁殖しています。寒冷地では冬には暖地に移動するとの記録や、暑い沖縄地方では稀とのこと。生息地は高山から都市部までほとんど場所を選ばず、河口、海岸、河川など水辺は動物の死体などがよく見つかるので、生息場所にしています。漁港の周辺などは特に生息数が多いという。きっとあなたも、主に上昇気流を利用して輪を描くように、しかも羽ばたくことは少なくして滑空しているのを、真美沢公園の真美沢沼から見ることができますよ。
外国人が日本へ来て、都会の湾港地域で猛禽類であるトビがたくさん飛んでいる様を見て非常に驚いているのだと記録がありました。猛キン類は、最近は都会では数が少ないのがふつうなのだとかで、日本のトビが、それだけ悪い環境にも強くなっているのではないか、とのことです。
トビは猛禽類の中でも比較的大型な鳥で、大きさは全長が59~69cmでオスよりメスのほうが比較的大きくなります。翼開長が150~160cmほどです。皆さんが良く見かけるカラスより一回り程大きくなります。
体は全体的に濃い茶色や褐色と、白のまだら模様で藪の中では廻りに溶け込む目立たない外観をしています。近くで見てみると、羽や羽毛の色合いによって、まだら模様になっているのがわかります。こうしたトビの体色に似た茶褐色を「鳶色」といいます。
トビはその大きな翼を上手に使って、うまく上昇気流をつかみます。上空で翼を広げて、大きな輪を描くように、時には右回りを左回りに8の字を描くように旋回しているような姿を、真美沢公園でもよく見かけます。トビが飛んでいるかを見分けるすべとして、翼下面の先端近くに白い模様が見えます。さらに肩口辺りも白く観えればよく似ているミサゴと思われます。尾羽でも区別できます。トビの尾羽は三味線のばちのような形です。ミサゴの尾羽は扇状に広がっているように見えます。見上げると逆光で明暗のコントラストを捉えられない際には尾羽を見るのが一番分かりやすい方法です。
春2〜3月頃から木の上に木の枝で巣を作り、夏にかけて2〜3個の卵を産みます。古巣を再利用する事も多いとのことです。巣は、高い木の上に枯れた枝を組んで円形に作り,オスとメスが協力して1ヶ月ほどあたためます。卵から赤ちゃんが出てくるとオスとメスが一緒に子育てをし,2ケ月前後で独り立ちします。巣立った雛は、約2ヶ月家族で行動するとのことです。
トビの名前の由来は、優雅に飛んでいる様子の「飛び」からという説や、猛禽類の特徴である遠くを見る眼の良さを表す「遠見」から来たという説がありました。トビと呼ばれるようになったのは奈良時代からなのだそうです。江戸時代にはトンビという呼び名で親しまれていました。英名の「black kite」は、凧のように優雅にあまり羽ばたきもせずに飛ぶ姿からきているとのことです。
漢字で「鳶」と書きますが、日本の生活の中にも使われています。「鳶職」と言われる建築作業の専門足の呼び名ですね。また「鳶口」といって、長さ二メートルほどの棒の先にトビのくちばしに似た鉄のカギをとりつけた道具があります。丸太や原木など木材の移動・運搬・積み上げや、木造の建築物の解体や移動に使用されます。江戸時代には延焼を防ごうと、建物を引き倒す際に用いられていたとの事です。
トビというと、その特徴的な鳴き声、パッと思い浮かびますよね。どうですか。「ピーヒョロロー」という音がトビの鳴き声ですよ。聞いたことありますよね。ひょうたん沼でも何度も聞いています。テレビの時代劇やドラマなどで、「ピーヒョロロロ」を効果音として使われているのに出くわすこともありますよね。この鳴き声は自分の縄張りを示す際に出すものとのことです。縄張りに敵が侵入して警告している際には「ピーピピピピピ」と鳴き方が変わるとのことです。
トビは、ほかの野鳥に比べても視力が良く、上昇気流に乗ってあまり羽ばたかずに上空で旋回しながら、獲物をみつけると急降下して捕らえる習性があります。雑食性で主に動物の死骸を食するとされ、野生の中で「森の掃除屋」として重要な役割を担っています。さらに、生きているカエルやネズミなどの小動物を餌とします。
トビは、猛禽類の中では、人とのかかわりという点から見ると最も身近な鳥とされています。近世の下水道が整備される以前は、調理後の生ごみや調理クズに集まる等、人の生活の場にいて「掃除」していたとのこと。都市の下水道が整備されて生ゴミが出なくなると、トビは生活できなくなっていきました。そんな中でも日本のトビは、ワシタカ類でありながら、比較的ありふれたゴミや死肉を漁るため、他の猛禽類に比べてエサは豊富となります。そんな環境に適用して、人の営み近くに寄り添って生き続けているようです。基本的には群れないタイプの野鳥ですが、小魚が放置されている港や、調理クズの捨て場などには数羽が群れて集まることも…いつもの餌場としてとらえられているのでしょう。夜になるとねぐらでは数十匹のトビが同じ木で群れを作って寝ていたりしている記録もあるそうです。
さらにこんな報告も…神奈川県で人が観光地で広げるお弁当に向けて襲うこともあるとのことです。私も実際に、あすと長町での食のイベント会場の上空にトビが何羽も旋回して、食事のお弁当を狙っているのだろう光景を見ています。「鳶に油揚げをさらわれる」ということわざを連想してしまいます。人を警戒しなくなったトビに食べ物を奪われることを表したものですよね。トビは積極的に人間を攻撃してくることはないが、人や残飯の多い環境に慣れたトビは、このことわざのように食べ物目掛けて突進してくることもあるとのこと。カラスやカモメの行動に魅せられて倣ったことなのではと容易に想像できます。