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更新日:2025年3月25日
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真美沢公園の四季 第弐回 モミジイチゴ
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第弐回 モミジイチゴ
オレンジ色に輝く果実…香り高く、甘さ控えめ、酸味もほど良く、キイチゴの中での一番おいしい
英名:Japan golden mayberry
5月に真美沢公園を散策していると、下向きに白い花をさかせているモミジの形に葉を持つ低い樹を見つけて、6月にはおいしく食べられるかもと思っていました。6月4日に開催しました、わくわく子供の時間「真美沢公園をたんけんしよう」の中でもご紹介し、マスクの隙間からみんなで試食しました。皆さんは始めての森のグルメをいただいたようで、「おいしい」との声が思わず出ていました。
モミジイチゴは、明るく陽の指す林内や林縁などに生える落葉小低木です。キイチゴ(木苺)の仲間の中でも代表的な存在です。台原森林公園では陽の光を浴びていくつもの木々が集まって咲いていますが、真美沢公園では、何カ所にもわたり数本ずつ花が咲いていました。おそらくは小動物や野鳥が食した後に、糞と一緒に公園内の各地に撒かれたのが成長したものと思われます。
葉の形がモミジの葉に似た形なことから、モミジイチゴの名が付いたとのこと。葉は枝から互いに出生し、見た目にとげと分る存在感のあるとげが枝より出ています。実を収穫する際も気を付けてもぎ取っていただきたいです。
5月に咲く花は、5弁で白く単生しています。特徴は枝に対し下垂して咲いていること。5月に歩いた際もこの「白い5弁の花が下垂して咲いている様子」を捉えることで、6月を楽しみにすることに。
おいしい果実は、球形で橙黄色に熟す集合果です。キイチゴの中でも最も美味しいとされ初夏の6月に熟します。上の3枚の写真の一番上の写真は、オレンジに実る前の姿。それが1ヶ月もせずに実ります。オレンジ色に輝く果実は、キイチゴの中でもモミジイチゴだけ。香り高く、甘さ控えめも酸味もほど良く、何よりも散策の中での、森の実りのつまみ食いは、森のグルメをいただくといったお得感と、しばしの休息と渇きをいやしてくれて「おいしい」の一言。集合化のひとつひとつの小核果は無毛。他の多くのキイチゴが有毛なことや粒粒の中の種も口触りもあってか、口に細かな毛も残らないモミジイチゴは、何の抵抗もなく食べられます。
特に小鳥や小動物は、キイチゴ類の実は重要な食料とされているとのこと。でも大きな動物、熊も狙っています。マタギの語り伝えを見つけました。「イチゴ落し」と呼んでいる話は、ツキノワグマが繁殖期に入る初夏にモミジイチゴがオレンジ色に熟する頃、生後1歳半の子グマが夢中で食べている間に、親熊は子別れをするというのです。真美沢公園のモミジイチゴもそれを狙う小動物や野鳥、それに散策する人間も含めライバルが多そうです。書いているうちにまた食べたくなりました。次の休みにもまた歩いてみます。