2022年11月20日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第二十五回 オヤマホグチ
蕾や花の印象は、他の植物を寄せ付けない殿とした雄大さ
英名:無し
オヤマボクチは、ヤマボクチの仲間でアザミに似た頭花で、濃紫色の花を、やや下向きに咲かせる山野草です。愛知県を境に、四国・本州東部以北~北海道の日当たりがよい山中や草原に多く分布しています。つぼみはピンポン玉を一回り小さくした3~3.5cm程度の大きさで、まん丸として1m程の高さとなることから、周りの草花より頭一つ出て、その様ですので目立ちます。
漢字で「雄山火口」と表します。写真を見ていただいても感じられると思います。ごつごつとしてでんと構えたような姿や、周りの植物に比して雄大さを印象にさせる姿です。さらに、昔、火打石で火を起こす際の火口(ほぐち)として葉裏の綿毛を集めて乾燥させたものを使っていたところから付いたとのことです。その葉の様子からウラジロとも、根っこの見た目が、ゴボウに似ていることから、ヤマゴボウとも呼ばれています。
茎は、紫色を帯び太く80~100 良い条件が重なれば~150cmにもなりほぼ白色の綿毛を密生させて、上部で細かく枝わかれしてその先に頭花を咲かせます。葉は、上部と下部で大きさも様子もさまさまに変化があります。上部の葉は、長楕円形で先は細り、ゆるく波打っているように観えます。下部の葉は、長さ15~30cmの卵状長楕円形で、縁にやや深いものから浅いものまで不規則な鋸歯が見らえます。基部は心形で、葉柄は長く、ヌルデほどではなりませんが狭い翼がついています。
オヤマボクチのホクチ「火口」とついたように、葉裏には白色の毛がフェルト状に密生しており、それを採取・乾燥させて、火打石で打ち出した際の火花を受けて火を起こす「火口(ほぐち)」として、また、繊維そのものが大変強い特徴を使って、昔から奥信濃地域では蕎麦のつなぎとして受け継がれて現代でも用いられているとのことです。
オヤマホグチの頭花の、つぼみの頃は、ピンポン玉を覆うように細く長めの毛が生えていて、花咲く蕾の中心に向けて傾いている様は、独特で他の植物にないほど、トゲトゲとした印象よりも、ごつごつとしてでんと構えたような姿や、周りの植物に比して雄大さを印象にさせる姿です。私は花の姿より、毛がほんのり濃紫色に変化しだしたときの蕾の姿に魅せられています。
開花すると球形から変化して、全体に紫色~濃紫褐色になって、たくさんの筒状花が突き出してきます。その筒状花の周りは、総苞片が覆瓦状に多列あり、幅約2㎜の線状披針形で先が刺状になります。中心に近い総苞片は筒状化と同じ方向に、外片~中片の先は開出しています。頭花の小花の集まりは、すべて筒状花です。雄しべの先の葯は開花してすぐは暗紫褐色、後にすぐに退色して淡褐色になります。花粉は白色で、開出したばかりの咲いた瞬間を捉えることができました。下の写真はあとから成熟して出てくる雌しべの花柱を捉えました。ピンク色で先が2裂しています。小花は外側から咲き、外側の小花から退色してゆきます。
種子は、タンポポなどと同じように、筒状花のひとつひとつが果実になります。痩果で斜めに花床につき長さ約6㎜で扁平、長さ約16㎜の褐色の冠毛を持ちます。痩果と冠毛の間には柄はなく基部で環状に合生しています。つまりタンポポよりもアザミに似た様の冠毛です。その冠毛で風を受けて花床から飛び立ち、新たな場所で次の世代へ命をつなぐ風媒花です。しばらく見入ってしまいました。ライオンの鬣(タテガミ)をイメージしました。