真美沢公園の四季 第二十七回 ガマズミ
2022年12月4日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第二十七回 ガマズミ
晩秋の紅葉は必見!鉄紺色から濃紫色への移り変わりの美しさ 観られたら幸運!
英名:Japanese bush cranberry,Linden arrow-wood
北海道西南部から九州の丘陵まで、日当たりの良い山野や林縁に、普通に生える高さ2m~5mの落葉低木です。耐陰性があり明るい日陰でも生育が可能です。葉は対生で葉身は長さ6〜14cm、幅3〜13cmの倒卵形や卵形から円形です。ふちには波を打つような浅い鋸歯がみられます。花は本年の枝先に径5~12cmの白い小さい花を多数固まってつけます。果実は9〜11月に濃紅色に熟します。長さ6〜8mmの偏平な卵形で、ツヤも出て非常に美しくて、運が良ければ様々な色目に染まってい行く様を鑑賞できます。
名前の由来を調べると諸説ありました。有力な二つだけ紹介します。一つ目は、材は柔軟性があり強靭で折れにくいことから、民具の材として、身近な鎌の柄に用いられたことから「ガマ(鎌)」と、そして酸っぱい実をつけるので「ズミ(酸実)」とを合わせて、ガマズミと。
二つ目は、獲物を求めて一日中歩き回るマタギ。青森県三戸地方では、山中で食べるものがなくなるとガマズミを探し出して口にし、身体の疲れをいやしてくれる食材、山の神からの授かり物としてマタギたちから大切にされたといわれています。神の実、神からの酸味のある実、山の神から授かり物としてガマズミと呼ばれたとのことです。
生育場所によっては、秋も深まると、紅葉が楽しめます。実が濃紅色に実ったあとに遅れて、緑、黄色、赤、赤茶色、鉄紺色、濃紫色などのグラデーションが美しい。特に鉄紺色から濃紫色への移り変わり美しさに魅了されている私ですが、毎年確約されているわけではないだけに、今年は期待に応えてくれますかどうか。
近くを歩けば独特のにおいが漂います。匂いは褒められたような良い臭いではないとされていますが、それは人間の感覚。虫らにとっては媚薬のような独特の香りで誘惑されている様子で、蜂類をはじめとしてたくさんの昆虫が集まってきます。
多くの書籍で生食には向かないと紹介されています。でも、それは間違いです。秋も深まり、初冬の霜が降りる頃になると、白い粉をふいているのを見ることができます。その頃にはクエン酸が抜けて甘くなり味のバランスが良くなるんです。その食べごろをよく知っているのは、人ではなく野鳥です。ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、キジバト、メジロ、オナガ、アオゲラなどが集い、人間より先に食してほとんどなくなることも。残っていたら幸運と思って食してみませんか。山仕事をする方々は、疲れをいやす程よい酸味と甘みで癒されているとのことです。
ガマズミは山の神からの恵みとして生食のほか、様々な食し方があるようです。学生の頃長野県に旅した時に地元の漬物としていただいたのが赤漬けでした。赤く酸味の聞いた大根づけです。赤色はガマズミの実を入れて紅く染め酸味を効かせているのです。さらに、ガマズミの実を使った果実酒は、疲労回復や利尿に有効だとのこと。赤く熟した果実をグラニュー糖とホワイトリカーに漬け込み、2~3か月すれば飲用可能となるという。他にもキャンディにしたり、ジャムやゼリーしたりなど様々に利用されているようです。
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