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タイトル:真美沢公園の四季

真美沢公園の四季 第四十一回 キズタ

2023年3月12日

真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。

第四十一回 キズタ

母体となる樹が葉を落とす秋に葉を広げ花を咲かて春には種が実る

英名:Japanese ivy

 

北海道南部から本州〜九州の照葉樹林の林縁や林内、原野などに生える常緑つる性植物。その中でも蔓が木本化する。蔓があのジャックと豆の木の童話のように大木になるのではなく、大木に気根をだして、樹木や岩の上などにはい登り、大きいものは太さが直径6cm以上になる。葉は互生。葉身は成長の具合で形は異なり、トウカエデのような様や、菱形状卵形になるなど多様な様になります。

キズタの次世代への戦略は、他のツタとの見分けにもつながりますが、母体となる樹が秋になって葉を落とすその時期に、葉を広げて花を咲かせ、母体となる樹が若葉を出し、樹を覆うように葉を広げる前に果実を実らせて、野鳥らに食させて子孫を広げていくというもの。ただ宿っているだけでない、親樹を弱らせるのではなく、いわば隙間をついて共存する戦略に奥深さが伺えます。和名はもうお気づきですよね。「木蔦」となります。絡んだ2年目には木質化してよりたくましく親樹に張り付いていきます。

 皆さんも樹の幹の周りを覆うように何本ものツタが上に伸びているのを見たことがあると思います。一般に観ておられるのは、ツタ「蔦」で、秋には落葉するツタの葉ですが、今回紹介するキズタは漢字で「木蔦」と表します。常緑の葉を持ち、伸びている蔦の枝が、木質化して取り付いて、樹木にしっかりと絡まって成長しているのを確認できました。伸びているツタの枝は、一年目は緑色していますが、それ以降は木質化して、一年中絡まっているのが特徴です。絡まってと記していますが、巻き付くことはまれで、締め付けて寄主の樹木を弱らせたり枯らせたりすることはめったにないそうです。

 真美沢公園のキヅタは、木質化しているもののまだ2~4年目ほどの細いものばかりと思われます。倒木にも絡まっている様も観られ、生き抜こうとする生存力を感じてしましました。この絡みつくことができる役目をしているのは、気根あるいは付着根といわれる、いわば触手のようなもの。見た目は根っこのようです。大きな岩や幹に絡んで茎を支える役目を持ち、根のように成長もします。ですが栄養吸収する役目は持ちません。蔓の先の方を傷つけると粘液を出します。たくさんの栄養の詰まった粘液で、気根の成長を促します。ツタのつるの先端にはたくさんの気根が出ているのが確認できます。

 葉は厚く革質で、長さ1.5-5cmの葉柄をもって茎に互生してつきます。葉の形は、若枝のものは卵円形または菱形状卵形で、葉先はトウカエデのように3-5裂しますが、一枚目のように花が咲き実をつけるような年を重ねたキヅタの葉は裂け目のない菱形状卵形または卵状披針形になります。その葉身は長さ3-7cm、幅2-5cmになります。

寄主は落葉樹であることが多いとのこと。寄主が葉を落としている期間に強い光を得て高い能率の光合成を行っています。真美沢公園は基本アカマツ林ですが、キズタが伸びている樹木は落葉樹でした。

 キズタの花期は10-12月、茎の先にひとつから数個の散状花序の花を咲かせます。イメージとしてはヤツデの花に似たボール状の花で、咲き始めは紫色を帯びてきれいです。花は5弁花で黄緑色、花弁の長さは3mmほどになり、長さ約4mmの長卵形でそり返ります。雄蕊は5本つき、葯は黄色で裂開すると褐色になります。花の少ない時期に咲きますが、人には見向きもされていないようです。


 果実は液果で、直径810mmのほぼ球形、1011月に咲いたヤツデに似たボール状の花が、後に直径8ミリほどの実ができ、はじめ赤紫褐色から翌春には黒紫色に熟すます。今が大きい方の写真で、小さいのは熟して黒ずんだ去年の4月末ごろのものです。それぞれの先端には、花柱が残っているのが分かります。果実の中には、直径約5mmの扁球形の種子が5個入っています。この果実を好むのがレンジャクやヒレンジャク、さらにムクドリ、ヒヨドリ、シロハラ、アカゲラらです。宿木が大木で、その樹の幹の周りを覆うように何本もの10cm近いツタが上り、上の方まで実をつけるといった条件がそろったツタは、野鳥の観察ポイントとして、チェックされているそうです。

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