真美沢公園の四季 第五十四回 ニセアカシア ハリエンジュ
2023年6月11日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第五十四回 ニセアカシア ハリエンジュ
ミツバチにとって代表的な蜜源植物 甘い香りが周囲を漂いミツバチを誘う
英名:locust、bristly locust , moss locust , rose-acacia
ニセアカシアは、北アメリカ原産で明治時代初期に渡来した高さ15mほどになる落葉高木です。やせた土地でもよく育ち、成長も早いため砂防や早期緑化の目的で植えられた歴史もち、公園樹や街路樹にも採用されています。成長が速いゆえに、太い枝でも折れやすいです。枝には鋭い刺があり、下に折れた枝の刺が、たまたま角度が悪ろうものならスニーカーの靴底を突き刺すほどです。葉は互生で、3〜11対の小葉がほぼ対生する奇数羽状複葉で、香りのよい白色の蝶形花を総状花序を垂らし、多数咲かせます。
名前の由来は、ミツバチにとって代表的な蜜源植物となっている花であることに由来します。よく「アカシア蜂蜜」と銘打って売られている蜂蜜を見かけますよね。でも、アカシアの花は黄色く、花の時期も、2~4月始めと蜂類の活発な活動期とはずれていることから、ニセアカシアの花を蜜源としている場合が多く、区別する意味でつかられているという。さらに、和名のハリエンジュも、葉がエンジュに似るものの、エンジュの葉の主脈の先がとがり、枝にとげがないのに対し、ニセアカシアは葉が丸目で葉の主脈の先が心持ちくぼんでいて、枝にとげがあることから、エンジュと区別する意味でハリエンジュとついているという。
葉の様が熱帯性のアカシア(別名ミモザ)に似ているとし、アカシアと呼ばれていた歴史を持ちますが、前述の通り本種とアカシアは花の色も違うことから、ハリエンジュに是正され、後に学名を直訳したニセアカシアの名が広まったとのことです。アカシアとは違う「偽物」のニセが名前についているのは、可愛そうに思えて仕方がないのですが、植物界にはそういった経緯でついている名前が多いのでいたし方ないか…。
また葉は、ネムノキのように夜になると閉じるのが特徴です。葉の表面からの蒸散作用を抑えるのが目的とのこと。閉じている様子を見るなら早起きしなくてはいけませんね。晩春から夏にかけて採取した若葉は炒めて食べることができるという。
葉は秋に黄葉するが、それほど綺麗ではありません。
個々の花は、約2cmの虫媒の両性花で、マメ科の花の特徴である蝶のような形をして、上からつられているように広鐘形ともいわれます。左右対称で5枚の花弁があり、うち1枚の花弁が大きく上にでているところが特徴です。花弁は5、雌しべ1本、雄しべ10本で、うち9本は基部が合着しています。
今年も花のサイクルは早まっています。5月中には日当たりの良い樹は、花を咲かせ、盛りを過ぎてしましました。
最後に、ニセアカシアの果実はもちろんのこと、葉や樹皮に毒性があるので注意しましょう。花以外の場所に毒があるのです。樹皮を食べてしまった家畜の馬が中毒症状を起こしたという事例もあるとのこと。若い果実は緑色でおいしそうですが、食さないようにしましょう。
ニセアカシアは「要注意外来生物リスト」に指定されています。根に根粒菌という菌を寄生させて、その菌は、固体に変えた窒素をニセアカシアに供給し、代わりに糖分などをもらうといった共生関係を作り上げることで、痩せ地や砂地でも自生できて成長スピードがとても早く、あっという間にニセアカシアの林を作れるという。そのため既存のクロマツなどが、瀕死の状態の里山もあるとのこと。
秋田県小坂町には、植林地として国内最大級のニセアカシア林があります。鉱山の精錬の時に発生する二酸化硫黄を含む煙によって土壌が酸性化、広大なハゲ山に。対策としてニセアカシアが植林され、山全体に500万本も群生しているという。ニセアカシアの白い花が咲く5月6月、全国の養蜂業者が小坂町に集まるようになったそうです。
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