真美沢公園の四季 第六十二回 ヘクソカズラ
2023年8月6日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
真美沢公園の四季 第六十二回 ヘクソカズラ
強い臭気で身を守り、野鳥の助けで広がってゆく
英名:Skunk vine、Stink vine
日本全土に分布するアカネ科のつる性多年草です。日当たりのよいやぶや道端、草地や土手などに、他の植物に絡みつきながら繁茂します。葉は蔓性の茎に対生し、やや細長いハート形をしています。開花は8~9月で、葉腋から出る花序は、数個から数十個の短い集散花序をだし、白~灰白色~淡い紅色の花をまばらにつけます。果実は核果で直径約5~8mmの球形です。
潰すと強い臭気があり、ヘクソカズラを漢字で書くと「屁糞葛」となります。いい名前とはお世辞にも言いがたいですよね。 その理由は、枝や葉をもんで潰すと放たれる香り、いや強い臭気は独特の嫌な臭いがするのです。ヘクソカズラに含まれているメルカプタンという揮発性物質が放つ匂いで、嫌な臭いで捕食者を追い払う動物のスカンクの屁の主成分と同じもので、害虫から身を守るためにこうなったと言われています。
ヘクソカズラの花、けっこう可憐な美しさを放っていると感じます。別名に花の美しさにちなんだ「サオトメカズラ(五月女葛)」や、花の色形がお灸の形に由来する「ヤイトバナ」と呼ばれて親しまれています。 あなたのお宅でも野鳥が運んで咲いているのでは・・・、他の植物の育成を妨げないようなら、観賞用として駆除せず取っておいてご覧いただきたいと思います。
ヘクソカズラの実はかっさかさに乾燥していそうに見えますが意外にも瑞々しいです。味は葉を揉んだときの香りから想像できる通りの癖のある嫌な感じの青臭さとかで、私自身も口に入れたことはありません。人では、甘味はなく、舌には軽い刺激がびりりと残るという。
でも鳥は好んで食べている様子。前の項でも書きました。ヘクソカズラの種がどうやっていろいろな場所に、あなたの家のお庭にも運ばれるのか、想像できるますか。 鳥は実を食べ、その種はおなかの中で運ばれます。糞と一緒に排出された種は、ただ落ちた実よりも発芽しやすいとも。落ちた場所から芽を出し、こうしてヘクソカズラはさまざまな場所に生えるのです。
人の口には合わないが、その果汁は、しもやけ、あかぎれ、ひびわれに効能があるとされ、ハンドクリームに混ぜるなどして使われています。
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