真美沢公園の四季 第六十四回 カラハナソウ
2023年8月20日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第六十四回 カラハナソウ
ビールの苦み付けに使う「ホップ」の日本産野生種
英名: 無
カラハナソウはアサ科カラハナソウ属の多年草です。日本では北海道、本州の中部以北に分布し、山地の草薮や林縁に自生します。つる性で他の植物に絡みながら這いあがり成長します。葉は長い柄をもち、つるに対生し、3から5裂する葉となり、縁は荒い鋸歯状になります。花期は8月から9月で、雄株につく雄花穂は、つるの先に円錐状に垂れ下がり、雌株につく雌花が変化した果穂は、松かさに似た2-3cmの卵円形になり、短い柄をもって垂れ下がります。
カラハナソウの果穂(実)を手に取ってもんでみると、ホップの香りそのものです。齧ってみるとホップと同様の苦味があります。以前に仙台港のキリンビール工場で観て嗅いで口に含んだ時と同じです。実はこのカラハナソウ、ビールの苦み付けに使う「ホップ」の日本産野生種といわれています。ビールの苦味、香りの原料となるホップは、カラハナソウと近縁の間柄のセイヨウカラハナソウで、となります。皆さんのなじみのよびかたでは、「ホップ」です。
カラハナソウは、斜めのがけを登ってくるいや這いあがってくる。といった心象です。夏にクズの葉の生域拡大の勢いある中で、負けずに育っていて、よく見るとホップの花を見つけていました。9月にはきっとホップの香りを漂わせていたのかもしれません。クズの青々と斜面を覆い尽くす葉の裏で、賢く育んでいますよ。
名前の由来は、果穂が唐花模様に似ているからです。写真を見てそう感じていただければ幸いです。八乙女中学校のテニスコート北側うらの斜面なら探しやすいと思います。
茎はつる性で長く伸びています。ツルの最初がどこなのか確認していませんが、下の方から斜面を登っていることは容易に想像できます。葉柄とともに小さい逆向きのトゲがあって、他の植物と絡み外れなくなります。そのとげは、触るとそれなりに刺さります。つるに対生する葉は卵円形で、無列の単葉だったり、3裂したり、5裂したりと変化に富みます。 長さ、幅ともに5~12センチメートル、先端は鋭くとがり、縁にやや不ぞろいののこぎりのような鋸歯があり、両面に粗い毛があってざらついています。柄のある基部は心形となります。
カラハナソウの花は、雌雄異株(オスの生殖器官をもつ個体とメスの生殖器官をもつ個体が別)です。花期は8~9月。雄花も雌花も淡緑色です。
雄株は淡黄色の小さい花を長さ10~15センチメートルの緩い円錐状に、2~3センチの球果状で短い柄で卵円形の毬花で、 葉腋から短い柄で垂れ下がります。一つ一つの雄花は小さく黄白色で、花冠は5裂し萼片5個、雄しべ5個、観え、風で花粉を飛ばします。
雌花序は上部の葉腋に出て、2出集散花序が集まって長さ2~3cmで卵円形の花序となり、下垂します。
雌花には花弁はなく、まばらなウニのような見た目で、膜状で乾質の苞に包まれています。苞の間から針ではなくブラシ状の柱頭を出して花粉を受け取るのに適した形です。雌花は小さな花序に固まってつき、子房1個、花柱2個です。苞は受粉後には閉じたマツカサ状毬花(きゅうか)になり、覆瓦状に幾重にも重なり、そのままで宿存し、後の果実時に果実が膨らんで大きくなります。
右側の写真のように雌花の基の部分にルプリンあるいはホップ腺と呼ばれる粘りのある黄色の小粒ができ、この中に苦味や芳香物質が含まれています。セイヨウカラハナソウ=ホップは一つの毬花にたくさんのホップ線が出来ます。日本のカラハナソウは少量となります。そこでカラハナソウと区別できます。
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