真美沢公園の四季 第七十七回 ガンクビソウ キバナガンクビソウ
2023年11月19日
真美沢公園は、以前あった八乙女の広域の水田地帯に向けて3段のため池があった里山が連なる地域に、仙台市北部を住宅地として団地が切り開かれた中で里山とため池といったセットで残されたと思われます。最後まで残されたため池の水を利用していた水田も商業地や住宅地に変わり、里山とため池が、自然豊かな地域資産として残されています。
第七十七回 ガンクビソウ キバナガンクビソウ
太陽のメラメラの様の頭花 葉が落ちた果実の様は煙管の先の雁首に似ている
英名:無し
ガンクビソウは、本州〜沖縄島以北の琉球の山地の林内や林縁の半陰地に生える多年草です。茎は直立し高さ25〜100cmに生長します。花は太陽のメラメラの様で咲く姿が特徴です。下部の茎葉は長い柄の先に、卵形〜楕円形の葉が付き、上部の茎葉は狭楕円形〜長楕円状披針形で無柄となります。頭花は枝先にふつう1個ずつ点頭してつき、基部に2〜4個の長楕円状倒披針形の反曲する葉状苞(総苞片)が付いていて、太陽のメラメラのような様になっています。
名前は、葉が落ちた果実の付いている様子が、和製パイプの煙管(キセル)の先の雁首に似ていて、雁首の傾きが内側(茎の方)に傾いている様子までそっくりなことから名がついています。
同様にメラメラのあるコヤブタバコとは、葉状苞が細長く数が多いので区別できますが、同じ場所に両者が咲いていると分かりやすいものの片方だけだと迷うことも。あまりにも似ているため、コヤブタバコもガンクビソウとされることから、花の色が全体的に白っぽくなるコヤブタバコと区別する意味で、別名キバナガンクビソウと名付けて分かりやすい工夫がされているようです。
ガンクビソウの枝は直立し、上部で枝分かれして、枝は開出ぎみに斜上します。その先に付く葉は、下部と上部で様子が変わります。下部の茎葉は長い柄があり、長さは柄を含めて7〜23cm、幅3〜10cm、葉身は卵形〜楕円形で、縁には波状の低い鋸歯が観られます。下部の葉柄には先端のみに短く小さな翼がついています。
上部の茎葉は狭楕円形〜長楕円状披針形で…つまりは下部に比べよりほっそりとした形になります。長い柄は見られなくなり無柄になります。
頭花の周りを支えるように付いている総苞は、花の期が進むとともに反るといったことは起きません。茎側よりも花の先端部の方が細まったままでしっかりとした黄色の花を咲かせます。頭花は一つの花に観えますが、タンポポやアザミやセンダングサと同様にいくつもの花の集まりで、咲き始めは濃い黄色で、花の期が咲き終わりになっていくにつれ色がくすんでいきます。
頭花は舌状花がなく、周辺に長さ約1.5mmの雌花、その中心に長さ3~3.5mm両性花が、先が5裂して、みっしりと咲いています。子房の上部と基部に粘液腺があり、後の果実期にも残ります。上の写真は両性花をアップしたところです。先の方が5裂して雄花と雌花の働きがされます。
ガンクビソウの果実は痩果…成熟した状態で果皮は乾燥して1つの種子を密に包んでいるが果皮と種皮は合着しておらず、果皮の中に種子が閉じられて入っている様で、長さ3~3.5㎜です。花期の時期から持つ粘液はそのまま保たれ、果実の先端が短い嘴の形となっていて、そこから粘液がにじみ出ます。触ると意外にべたべたしています、そのべたべたで動物や鳥、或いは人間の服などにくっついて運ばれその先で落ちて生息域を広げています。粘液でくっつくひっつき虫【付着散布】で広がる戦略で生域を広げています。
ガンクビソウ ヤブタバコ コヤブタバコ の比較
名前(漢字表記): ガンクビソウ (雁首草)
花咲く季節:8月、9月、10月
分布:本州~沖縄
生活型:越年草、多年草
草丈:25〜100cm
葉の形:単葉(不分裂葉)
葉の生え方:互生
葉の縁の形:鋸歯
花のつき方:頭状花序
花の色:黄
葉の色:緑
主な生存戦略:付着散布(粘液)
識別的な特徴
花:太陽のメラメラがある。2~6枚、頭花は、基本ひとつだけ付く。頭花の形は枝もとより花先が先細るのが特徴。つまり頭花や総苞は開かない
果実:集合果と茎の見た目は、雁首と煙管の形状
名前(漢字表記): ヤブタバコ (薮煙草)
花咲く季節:9月、10月、11月
分布:北海道~沖縄
生活型:越年草、多年草
草丈:30〜100cm
葉の形:単葉(不分裂葉)
葉の生え方:互生
葉の縁の形:鋸歯
花のつき方:頭状花序
花の色:黄
葉の色:緑
主な生存戦略:付着散布(粘液)
識別的な特徴
茎:50cm直立した茎は、丸い節を形作り放射状に地面に沿うように横に何本も茎を伸ばす
花:節の上部、茎の葉腋ごとに、鐘形の花柄のない黄色い頭花が下向きにセットで点々とをつける
果実:葉が落ちると果実は、上部の茎に点々と間隔を置いて集合果が付いているといった印象
名前(漢字表記): コヤブタバコ (小藪煙草)
花咲く季節:7月、8月、9月
分布:本州~沖縄
生活型:多年草、越年草
草丈:50〜100cm
葉の形:単葉
葉の生え方:互生
葉の縁の形:鋸歯
花のつき方:頭状花序
花の色:白緑(横目から)、黄(正面から)
葉の色:緑
主な生存戦略:付着散布(粘液)
識別的な特徴
花:ことごとく真下を向くことから、人の目線からは見つけにくい。大きな総苞片と線状披針形の苞葉で真夏のメラメラ太陽を演出。総苞内片が白く、総苞外片が緑に生長し、下向きの頭花により、横アングルで白緑色の花に観える
果実:開出枝の枝先ないし葉腋に18㎜と大きな集合果が下向きに付く
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